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やることと言えばリハビリだけだ。でも其れは最も屈辱的且つ、苦痛なものに他ならなかった。
松「今日は何したの?」
彼が居ない時、リハビリ施設へは松原さんが送迎をしてくれた。
きっと一番迷惑をかけてしまっているのにも関わらず、いつもそう優しく問うてくる松原さんに、同じ返答を返すのはもう此れで何度目だろうか。
「また、マッサージしてもらいました」
リハビリとは名ばかりで、
相変わらずぴくりとも動く気配のない右手に、動け と強く念じるだけ。
自分の意思など通っていない其の右手を、ただリハビリ医の先生に曲げてもらうだけ。
松「もしかして、家でもずっとやってる?」
日を追う毎に、本当にもうこの右手は元に戻らないのだと思い知らされた。
松「先生がちょっとやり過ぎだって言ってたよ。休み休みやらないと、余計に手を痛めるって」
それでも、やらずにはいられなかった。
「はい。気をつけます」
心の何処かでは、" 大丈夫。まだ動く "と、そう思っている自分がいるのだ。
カ「おかえりなさい。筑前煮、たくさん作っておきましたよ」
「ありがとうございます。嬉しい」
カルラが用意してくれる食事は、いつもだいたい半分程しか喉を通らない。
何故だか食欲もあまりわかなければ、不自由な左手でする其れは億劫以外の何者でもなかった。
カ「奥様、また少しお腹が大きくなりましたね」
それでもせめてこの子の分だけはと、欲のわかない体に無理矢理栄養を流し込む。
ただ右手が動かなくなっただけなのに、何故だか味覚まで失ってしまった私は、" 美味しい "と嘘をついていつも無理矢理に笑ってみせた。
カルラが手際良く後片付けをする様子を、また私はソファに座って眺めるだけ。
そして其れに飽きてきた頃、代わり映えのない真っ暗な空をただ見上げるだけ。
カ「では、今日はこれで失礼します」
「お疲れ様でした。また明日、お願いします」
一人残された部屋は凍えてしまいそうな程に静かで、ただ広いソファに座り、これからやって来る長い夜が過ぎるのを待つには、怖すぎた。
「…、」
彼の居ない一人きりの夜など、今迄に幾度となく経験してきたはずなのに。
私はこんな夜を、何をして過ごしてきたのだろうか。
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ぶたさんなの。(プロフ) - 昨日、今日と2日間かけて一気読みしました笑とても素敵な作品で浮気疑惑のところはやられたーって思ったりピアノの話になるたび私も練習しないとと思わされます笑 この作品は私の中で大好きな作品の1つになりました。 (2015年7月31日 23時) (レス) id: fb6db84d89 (このIDを非表示/違反報告)
おりん(プロフ) - laizさん、返信ありがとうございました!!ヒロインと内田さんの楽しそうな笑い声が聞こえてきそうなシーン…嬉しいな〜!幸せそうな二人を見れて一安心…ここでスカルのベビー服!?内田さんもイカついの着てましたね!思い出して笑っちゃいましたよー(笑) (2015年6月16日 1時) (レス) id: 865a51165f (このIDを非表示/違反報告)
aquayu(プロフ) - 更新楽しみにしていました!希望の光が見えた瞬間、涙がとまらなくなったのは、私だけでしょうか?この作品、本当に本当に大好きです。 (2015年6月5日 22時) (レス) id: ff637bb026 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - おりんさん» 絶望の涙で泣き明かした夜だけど、この先に光が待っていそうな涙ですよね。思いっきり泣いて、何かが浄化してくれたらいいな。ちょっと足踏みしていた二人の背中を、「しっかりしてよ」と押してくれたのかもしれませんね^^そうそう、先程メッセージを送信しましたよ〜♪ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - すみれさん» 「大好き」のお言葉、動揺していた心に染み渡りました^^ありがとうございました。少し迷っていましたが、ようやく希望の光がさしてきた二人の世界、これからも変わらず執筆を続けていこうと思います。二人の、いや、三人の明るい未来、見守ってあげて下さい^^ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:laiz | 作成日時:2015年2月7日 20時