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18.Atsuto side ページ18

父「Aは赤ん坊の頃から才能のある子だった。親バカかもしれないけど、いつかは絶対にピアニストになると思ってたよ。



どんなに泣いていても、あいつがピアノを弾いて聞かせると大人しくなったんだ。クリクリな大きな瞳を見開いて、じーっとそれを眺めてね。



特にきらきら星変奏曲がお気に入りで、それを聞かせればいつも嬉しそうにケタケタ笑ってた。あの頃から人より耳が良かったんだよ、多分な」






遠い目をしながら優しく微笑むお義父さんは、幼き日の彼女を思い出しているようだった。

手持ち無沙汰の左手で自分の右手を撫でるその様は、まるで彼女の其れを撫でるかのよう。






父「初めて興味を示したのもピアノのおもちゃだった。他のものは直ぐに飽きて見向きもしなくなるのに、それだけはボロボロになるまで毎日遊んでた。



まだ二歳にもなってなかった頃だったかな…、音階も教えてないのに、突然きらきら星の旋律を弾き始めたんだよ。といっても途切れ途切れだけど、ドドソソララソって。



凄いだろ?その時確信したよ。この子はきっと、音楽をやるために産まれてきたんだって。



三歳になって、あいつがピアノを教えるようになってから、みるみる内に上達していった。本当にどのコンクールでも賞を総なめにしていたんだよ。高校生まではな…。」






その左手は小刻みに震えていた。

ゆっくりと、静かに動きを止めた其れを、今度はギシギシと音がする程に握り締める。






父「…やめると言い出した時もあったんだ。音楽なんてやってるからこんなに苦しいんだって、私たちにあたってきたこともあった。



でも、結局やめることなんて出来ずに、いつも次の日には泣きながらピアノに向かってた…。



……何でだろうな?何で…、

乗り越えて、ようやく夢が叶ったっていうのに、神様は一体何を見ているんだろうな…?」






篤「…っ、」






父「どうしてAなんだろうな…?」






気がつけば風は止んでいた。

唯一呑気な音を鳴らしていた其れも無く、まるで無音の世界に、一人ぽつりと墜とされたかのようだった。






篤「……申し訳、ありませんでした、」






情けなく絞り出した声は音になっただろうか。

無音の世界にこんなちっぽけな言葉を紡いでも、何の意味もなさないのだとわかっているけれど。






父「篤人が謝ることは何もない。こんなことになるなんて、誰にもわからなかったんだから」

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ぶたさんなの。(プロフ) - 昨日、今日と2日間かけて一気読みしました笑とても素敵な作品で浮気疑惑のところはやられたーって思ったりピアノの話になるたび私も練習しないとと思わされます笑 この作品は私の中で大好きな作品の1つになりました。 (2015年7月31日 23時) (レス) id: fb6db84d89 (このIDを非表示/違反報告)
おりん(プロフ) - laizさん、返信ありがとうございました!!ヒロインと内田さんの楽しそうな笑い声が聞こえてきそうなシーン…嬉しいな〜!幸せそうな二人を見れて一安心…ここでスカルのベビー服!?内田さんもイカついの着てましたね!思い出して笑っちゃいましたよー(笑) (2015年6月16日 1時) (レス) id: 865a51165f (このIDを非表示/違反報告)
aquayu(プロフ) - 更新楽しみにしていました!希望の光が見えた瞬間、涙がとまらなくなったのは、私だけでしょうか?この作品、本当に本当に大好きです。 (2015年6月5日 22時) (レス) id: ff637bb026 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - おりんさん» 絶望の涙で泣き明かした夜だけど、この先に光が待っていそうな涙ですよね。思いっきり泣いて、何かが浄化してくれたらいいな。ちょっと足踏みしていた二人の背中を、「しっかりしてよ」と押してくれたのかもしれませんね^^そうそう、先程メッセージを送信しましたよ〜♪ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - すみれさん» 「大好き」のお言葉、動揺していた心に染み渡りました^^ありがとうございました。少し迷っていましたが、ようやく希望の光がさしてきた二人の世界、これからも変わらず執筆を続けていこうと思います。二人の、いや、三人の明るい未来、見守ってあげて下さい^^ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2015年2月7日 20時

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