13.Atsuto side ページ13
ーーーtrauervoll…
<やめない。誰に何を言われても、ベルリン・フィルであの曲を弾く>
<楽しみにしててね>
ーーー
ーーーtrauervoll…
<でもあの舞台に立てるなんて…本当に夢みたい。まだ信じられないし>
ーーー
ーーーtrauervoll…
<…ねぇ、篤人くんの言う通りだったよ。>
<でっかい舞台の上にピアノは一つ。それを私が弾くだけ、本当にそうだった。>
ーーー
彼女の音を一つ一つ数えるように、
一本一本指を折る。
この右手はこんなにも簡単に動くというのに
何故彼女のそれが動かなくなってしまうのだろう
音のために生きてきた彼女から
何故それを奪い去ってゆくのだろう
ーーーtrauervoll…
<私は、きらきら星変奏曲聴かせてあげたいな>
<モーツァルトの曲。小さい頃、いつもお母さんが弾いて聴かせてくれてたの。いつかは私もこんな曲弾けるようになりたいって、必死にピアノ練習したりして>
<だから自分がお母さんになったら、今度は私が弾いて聴かせてあげたい>
ーーー
篤「………先生、…俺のじゃ、ダメっすか?」
『え?』
篤「……別に俺、右手とかいらないんで、…彼女と交換してもらえないっすか?」
『………』
篤「……っ、ダメっすか…?」
何かが壊れたように、涙が溢れた。
この役立たずの右手に幾ら爪を立ててみても
彼女の痛みとは変われない
篤「……交換してよ…っ、…頼むから、」
ごめん。
ごめん。
ごめん。
ごめん。
ーーーtrauervoll…
<あ、ケルンならあのチョコレート買ってきてくれてもいいよ?>
<え?ああ、あのお店の?公演終わった後もまだ開いてるかな>
<うそ。冗談すよ。疲れてるっしょ>
ーーー
A、ごめん。
全部、俺のせいだーー
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ぶたさんなの。(プロフ) - 昨日、今日と2日間かけて一気読みしました笑とても素敵な作品で浮気疑惑のところはやられたーって思ったりピアノの話になるたび私も練習しないとと思わされます笑 この作品は私の中で大好きな作品の1つになりました。 (2015年7月31日 23時) (レス) id: fb6db84d89 (このIDを非表示/違反報告)
おりん(プロフ) - laizさん、返信ありがとうございました!!ヒロインと内田さんの楽しそうな笑い声が聞こえてきそうなシーン…嬉しいな〜!幸せそうな二人を見れて一安心…ここでスカルのベビー服!?内田さんもイカついの着てましたね!思い出して笑っちゃいましたよー(笑) (2015年6月16日 1時) (レス) id: 865a51165f (このIDを非表示/違反報告)
aquayu(プロフ) - 更新楽しみにしていました!希望の光が見えた瞬間、涙がとまらなくなったのは、私だけでしょうか?この作品、本当に本当に大好きです。 (2015年6月5日 22時) (レス) id: ff637bb026 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - おりんさん» 絶望の涙で泣き明かした夜だけど、この先に光が待っていそうな涙ですよね。思いっきり泣いて、何かが浄化してくれたらいいな。ちょっと足踏みしていた二人の背中を、「しっかりしてよ」と押してくれたのかもしれませんね^^そうそう、先程メッセージを送信しましたよ〜♪ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - すみれさん» 「大好き」のお言葉、動揺していた心に染み渡りました^^ありがとうございました。少し迷っていましたが、ようやく希望の光がさしてきた二人の世界、これからも変わらず執筆を続けていこうと思います。二人の、いや、三人の明るい未来、見守ってあげて下さい^^ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:laiz | 作成日時:2015年2月7日 20時