きらきら星変奏曲 ll

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経過は順調だった。



8週目の健診では、何となく手足の形が見え始め、CRL 12mmに成長していた。

10週目の健診では、はっきりとわかるようになった手足を元気にバタつかせ、CRL 31mmにまで成長していた。






今日は14週目の健診日だ。



「 私がモニター見た瞬間に、こっちに向かって手を振ってくれたんだよ！ 」



前回の健診を終えた後、興奮のあまりそんなことを言ってしまったがばっかりに、仕事で来られなかった彼は「 一人だけズルくね？ 」と不満気な顔で繰り返すばかりで。

運良く休日と重なってくれた14週目の今日は、もちろん彼と二人で病院へと向かう。






「動いてるところ見られるといいね」

篤「見れるでしょ。むしろ、”お父さんキター！”って喜びのあまり暴れまわんじゃね？」






お腹の中ですくすく育ってゆく我が子の姿を見ていると、日を追うごとに” 母 ”となる実感が増していっているように思えた。






篤「てか、今日は平気なの？あれ」

「うん。最近治まってきた気がする」






” 死ぬよ？ ”と遥香から脅され恐れていた悪阻も、私は然程酷くなかった。舞台に穴を開けることなく普通に仕事が出来ているのだから、私のそれは軽い方なのだと思う。

といっても、悪阻がある時はやはり、舞台に立つのは一苦労で。8月から始まったドイツ国内を回るソロツアーを最後に、少し早めの産休に入ることが決まった。






「そういえば、お義母さんから荷物届いたよ」

篤「また？もういいっつってんのに」






色違いのスニーカーを三足買って来た彼の心配性も然ることながら、両親たちのそれにも拍車がかかったように思う。私の父に至っては、一週間に一度は必ず電話をかけてくる始末だ。

臨月になったら手伝いに来てくれるのだと言う母に、自分もと言い出した父は仕事はどうするのかと窘められ寂し気な顔をしていた。



でも妊娠を報告した時には涙を流し、心から祝福してくれた両親たちには、一番に孫の顔を見せてあげたいと思う。

もちろん、妊婦生活に役立つものを沢山送ってくれる彼のご両親にも。






篤「みんな大袈裟だな」






幾つもの温かな祝福に包まれながら、小さな命はすくすく育っていた。



間違いなく私達は 幸福な世界の真ん中に居た






「そう言う、篤人くんもね 笑」






” 何か ”が入り込む余地など何処にもない、

幸福な世界の、真ん中にーー

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