八百七十七話目 「 楽になる 」 ページ32
「おい！！しっかりしろ！！」
叫びながら拘束具を鳴らすが外れる気配も、奴がこちらを見る気配もない。
カタカタと震え続ける奴ににやりと笑みを浮かべながら男は距離を詰める。
「世界広しと言えど、初めて殺した人間が母親で、自分のせいで父親も弟も友達も死んで……ねえ、本当に自分が悪くないって今でも思ってるの？」
『あ……あ、だって、おれは』
「なにもしてないって？本当に？何もしてないんだったらなんでこんな事になったの？……そうだ、そう言えば君は俺を誘惑したんだもんね」
『そ、な……してないッ』
「じゃあ無意識でしたの？誰でもない君が、俺が目を付けちゃうような言動を取ってたんでしょ？」
『そ、そんなこと……』
「今だってそうやって楽しんでるんでしょ？」
『ッ……ちがう』
「嘘だ。色んな男に優しくされて幸せだね。ちなみに何人殺すんだい？」
『ちがう……ちがうちがうちがう！！』
「何が違う？わかってるんだろう？自分がいかに汚らわしいか、いかに人を不幸にするのか」
『お、れは……』
「どんなに取り繕ったって、汚らわしくて、卑しい人殺し」
『あ……うぁぁ……』
「………何回も死のうとして死ねなかったんだよね？」
今まで言葉で奴を散々いたぶっていた男が急に優しい声色を奏でた。
絶望一色の瞳から涙を際限なく流しながら奴が顔を上げる。
「本当は君も分かっているんだ。そしてどうすればいいかも知っている……でも君は怖がりなんだね」
男が奴の正面まで距離を詰めた。
座り込んでいる奴は男の態度の変わりようをぼぅっと見ているだけで拒絶するそぶりは見せない。もう一度ガシャンと金属を鳴らして叫んだが聞こえていないようだ。代わりに奴の正面に膝を着いた男が顔だけをこちらに向けてにやりと笑う。
「大丈夫、俺も一緒にいてあげるから」
『……い、っしょ？くろせ、せんせいが？』
「そう。ずっといっしょにいてあげるから」
『……うそだ、だっておれは……おれは』
「だいじょうぶ。ここにずっといれば、君も傷つかないし、誰も傷つけることはないよ。俺と二人でずっと幸せに暮らそう」
『だれも、おれも………』
「今まで、苦しかったね。もう楽になってもいいんだよ」
男は懐から黒い短刀を取り出した。それを奴の手に握らせ、その剣先を奴の心臓の位置に添える。
「さあ、楽になろう。いっしょに幸せに暮らそう」
『……うん、せんせ……おれ、もう』
微笑んだ奴がきゅうっと短剣の柄を持ち直した。
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涙腺崩壊日本人 - 2章まってます！！！！！ (2022年9月9日 21時) (
レス) @page50 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさんの為なら、いや、更新のためなら天に召されても良い、、、、 (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさん好き過ぎる作戦隊長さん、ありがとう感謝します私は貴方のおかげでルッチさんに目覚めることが出来ました！ワンピが帰ってくるのを待つぜ！更新お願いします！！超超超超超超超超超大好きです！ (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
ルッチさぁぁぁん - ホントわかる、、ルッチさん好き (2022年5月11日 23時) (レス) @page44 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
狐竜(プロフ) - ぴゃ！！！？？（大混乱）やった久々の更新！！！ほんともうこのシリーズのルッチさん大好きなんですよ私……嬉しい…！！！ (2022年3月28日 21時) (レス) @page46 id: 2674e8aa46 (このIDを非表示/違反報告)
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