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八百七十六話目 「そしてまた暗転」 ページ31

子供に指示を飛ばしながら逃げる奴が転んだ。

「危ないっっ!!」

そのまま鈍く光る刃が奴を貫くかに思えたが、横から小さな体が飛んできて女の動きを止める。
しかし体の小さなその子供は衝撃で転び、大したダメージでもなかったらしい女が血走った眼で刃物を握りなおす。

「なんで邪魔するのよ!!あんたも死にたいのね!!」
『優!!』

ほぼ反射だろう。
何かを握りしめた奴が立ちあがり子供と女の間に割り込んだ。
左腕で刃を受け、呻きを上げながらも利き手の得物で女の喉笛を貫いている。
沈黙して倒れ込んだ女。痙攣するその死体を見ながら血だらけの奴は何かを諦めたように呟いた。

『結局あんたの言った通りだよ』

瞬間、ステージ上の明かりが消えた。
パッとスポットライトに照らされた奴、そして血を流して倒れる女。だがその体が動いた。
瞠目する奴など関係ないとでも言うようにゆっくりと血まみれの女が立ちあがる。
小さく震える奴は口をぱくぱくと動かすだけで逃げることも目を瞑ることもできないらしい。見開かれた目から涙がぼろりと溢れだしたのが見えた。

「人殺し」
『あ……あぁ……』
「お前さえいなければ」
『いや……違う……わ、たしは、もう誰も……失いたくなくて……』
「人殺し」
『やめて……嫌だ……俺は、なにも』
「生んだ私がバカだった」
『おか…ぁさん……おれは』
「人殺し!」
『あああああああああああああ!!』

暗転。







次に明かりがついた時には奴は今の姿形に戻っていたが、目は虚ろで焦点が定まっていない。肩で呼吸をして尋常じゃないほど汗を垂れ流している。

「おい!しっかりしろ!!」
『……あ、あ……あぁっ!!』

此方では何も見えないがまだ奴にはなにか見えているのだろう。ボロボロと涙を流しながら脅えていた。
こいつが涙を流すところは何度も見た。だがこんな泣き方を見たことはない。
ガシャンとまた金属を鳴らすが外れる気配はない。

『わたしは………私はなにも……なにも』
「そう。お前は何もしていない」

ステージの袖から男が出てきた。
先ほども出てきた男。だがよく見ればそいつは仮面をかぶっているだけのようだ。声はそうだが、隙間から見える顔は俺たちをこのふざけた世界に連れ込んだいけ好かない男。

『わたしは、わたしは……』
「何もしていないけど……なにもできなかった」
『ッ』
「だから、みんなが死んだのは誰のせい?」
『わ……たし。わたしが……』
「そう、みんなを殺したのは誰?」

八百七十七話目 「    楽になる     」→←八百七十五話目 「暗転」



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涙腺崩壊日本人 - 2章まってます!!!!! (2022年9月9日 21時) (レス) @page50 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさんの為なら、いや、更新のためなら天に召されても良い、、、、 (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさん好き過ぎる作戦隊長さん、ありがとう感謝します私は貴方のおかげでルッチさんに目覚めることが出来ました!ワンピが帰ってくるのを待つぜ!更新お願いします!!超超超超超超超超超大好きです! (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
ルッチさぁぁぁん - ホントわかる、、ルッチさん好き (2022年5月11日 23時) (レス) @page44 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
狐竜(プロフ) - ぴゃ!!!??(大混乱)やった久々の更新!!!ほんともうこのシリーズのルッチさん大好きなんですよ私……嬉しい…!!! (2022年3月28日 21時) (レス) @page46 id: 2674e8aa46 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作戦隊長 | 作者ホームページ:tp://  
作成日時:2019年9月22日 20時

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