八百七十三話目 「事実は小説より」 ページ28
さて、残る問題は……。
『ルッチさん』
「お前はそっちだ。文句は受け付けない」
ルッチさんが指で示したのはステージの上。
え！？とリアクションを取っている間に彼は普通に椅子に座りやがった。なんで若干のドヤ顔なんだよって……あ。
「……チッ」
『うわぁ、間抜けな絵面』
「動けたら殺していたし動けるようになったら殺す」
ガシャンと音がして肘置きに両手を、そして椅子の足に両足を固定されたルッチさん。
ある程度は能力を使用している人間の思い通りなのだろう。証拠に堪えた笑い声が聞こえてきたし。
「これで交代はできないな。さっさと終わらせて来い」
『えー……自分がかったるいからって押し付けましたね』
「大正解だ」
ぶつぶつ言いながらステージに上がりスポットライトが作る光の円の中に足を踏み入れた。
再びここに連れてこられた時のような頭痛とめまいに襲われ、意識が闇に落ちた。
『うーさーぎおーいし、かーのーやーまー……おいしって美味しいって意味じゃないんだよ！？お母さん知ってた？』
「そうなの？お母さん知らなかったわ」
『家に帰ったら颯馬にも教えてあげるんだ〜』
「流石お姉ちゃんね」
『うん！……こーぶーなつーりし、かのかわー』
『あれ？咲ちゃん、今日もプール見学なの？』
「え……あ、うん。ちょっと夏風邪が治らなくて」
『黒瀬先生に怒られない？』
「あ……あ、うん。だい、じょぶ……あ、のさ」
「おーい、Aー！」
『あ、ちょっと待ってー！……え？なに？』
「な、なんでもない！ほら、純君呼んでるよ」
「お前らが悪いんだ！屈託ない笑顔で笑って、俺は悪くねえ！！」
『ひっ……！』
「なぁ、Aちゃん。俺は悪くねえよな？お前らが悪いんだよな？」
『誰かっっ！！』
「大声出しちゃダメだろ？咲ちゃんがどうなってもいいのか？」
なんだこれは………。
俺は何を見せられている。
シーンが代わるごとに背景や登場人物が代わる。変わらないのはただ一人、すべてのシーンにあのバカが存在していることだ。
『ひっ！！』
脅えを見せるステージ上のあいつの身長は縮んでおり、目の色も髪の色も今とは違う。
まだ十歳にもなっていない小さな体を追い詰める男。その目は………。
「クソっ」
立ち上がろうとするも金属音が鳴り響くだけ。奴は言っていた。どちらかの人生を見ると。
ならば俺が今見せられているのはあいつの過去なのだろう。
ステージ上の男がニヤリと笑った。ああ、胸糞悪い。
八百七十四話目 「観劇時のマナーにご注意くださいませ」→←八百七十二話目 「最近はやりの異世界」
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涙腺崩壊日本人 - 2章まってます！！！！！ (2022年9月9日 21時) (
レス) @page50 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさんの為なら、いや、更新のためなら天に召されても良い、、、、 (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさん好き過ぎる作戦隊長さん、ありがとう感謝します私は貴方のおかげでルッチさんに目覚めることが出来ました！ワンピが帰ってくるのを待つぜ！更新お願いします！！超超超超超超超超超大好きです！ (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
ルッチさぁぁぁん - ホントわかる、、ルッチさん好き (2022年5月11日 23時) (レス) @page44 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
狐竜(プロフ) - ぴゃ！！！？？（大混乱）やった久々の更新！！！ほんともうこのシリーズのルッチさん大好きなんですよ私……嬉しい…！！！ (2022年3月28日 21時) (レス) @page46 id: 2674e8aa46 (このIDを非表示/違反報告)
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