八百六十七話目 「上がってくればいい話」 ページ22
後ろからうめき声が聞こえたと思ったら何かが床を滑る音。
とっさに振り返れば棍棒を持った男がいた。
「おおっと！先ほどの借りは返すのが筋とでもいうようにレベッカがゲストを身を挺して護ったァ！！ステージ上に立っているのはあと二人だァ！！」
血走った目を俺に向けるガタイの良い男。
掠り傷こそそこかしこにこさえているようであるが、大きな傷は見受けられない。対して俺は脇腹を中心に血まみれ。
にんまりと男が笑った。
「優勝は……俺のモンだァァァァァァアアア！！！」
棍棒を振りかぶった男が雄叫びを上げる。
いや違うそうじゃない。優勝とかそんなんじゃなくて。いま、俺が必死になっているのはそんなんじゃなくてですね。
ズゴォンと大きな音が響いた。またステージが砕かれて大きく煙煙が上がる。
その中から飛び出してきた俺ははたからみればヒーローのように見えやしないだろうか。
『いま、それどころじゃねええええええ！！！』
右足で回し蹴りを食らわせれば、そのまま水しぶきを上げて場外へと散って行った。観客席から割れんばかりの歓声が巻き起こる。脇腹がじくじくと痛む。
煽るようにマイク越しの声が響き渡った。
「さぁ！ステージに立っているのは一人！！だがまだ終わりじゃない！立っているのは一人だがァッ……残っているのは三人だァ！！！！」
殺せ、落とせ、殺れ………そんなに俺の背中を押してくれるんですかオーディエンスのみなさん。
言葉に従うように見えるかもしれないが、俺が二人の所へ向かうのは俺の意志だから。
『そこのところ勘違いしないで欲しいです』
「ハッ、脇腹抉れているぞ。愉快だな」
『ルッチさんもがっつり風穴開いてるくせに何言ってんですか』
ステージには隣り合った状態で片手を残してぶら下がっている二人……レベッカとルッチさん。ルッチさんの方は俺に憎まれ口をぶつけるくらいの元気はあるようだ。
「喧嘩なら言い値で買うぞ」
『じゃあステージ上に上がってきてくださいよ』
「………」
『いえーい、俺の勝ちィ』
「絶対殺す」
『だから上がってきてくださいってば』
「………」
落とせ、殺せコールが鳴りやまない観客席なんて知ったことではない。
彼らの中では決着はついたかもしれないがこちらはまだなのだ。
………さて。
『こっからどうしましょうか』
「思いついてなかったのか」
『ぐうの音も出ないです』
「………あの」
俺たちの口論を黙ってみていたレベッカが恐る恐ると言った感じで口を開いた。
八百六十八話目 「崖にぶら下がっていたら？」→←八百六十六話目 「とっさの判断」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 518人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涙腺崩壊日本人 - 2章まってます！！！！！ (2022年9月9日 21時) (
レス) @page50 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさんの為なら、いや、更新のためなら天に召されても良い、、、、 (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさん好き過ぎる作戦隊長さん、ありがとう感謝します私は貴方のおかげでルッチさんに目覚めることが出来ました！ワンピが帰ってくるのを待つぜ！更新お願いします！！超超超超超超超超超大好きです！ (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
ルッチさぁぁぁん - ホントわかる、、ルッチさん好き (2022年5月11日 23時) (レス) @page44 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
狐竜(プロフ) - ぴゃ！！！？？（大混乱）やった久々の更新！！！ほんともうこのシリーズのルッチさん大好きなんですよ私……嬉しい…！！！ (2022年3月28日 21時) (レス) @page46 id: 2674e8aa46 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
