八百五十九話目 「誰よりも」 ページ14
静まり返った獄舎。
ぽつりと、一人の男がつぶやいた。
「お前……それでも海軍か」
『………』
「そんな道理がまかり通るかよ！！」
『まかり通るんだよ………だって強いから』
「ッ！」
『何かを変えるにも、何かを守るにも強さが必要なんだよ。友人も、仲間も、国も、法も……日常も。俺は今の日常を護る。それが罪のない数百人を犠牲にすることになっても……それが俺の正義だ』
「人でなし……」
『……あァ、いいよ』
俺が差し出せるものは差し出そう。
俺が削れるだけなら喜んで身を削ろう。
それでこの日々が護れるのなら。それだけで俺の大切なものが目の前から消えないのなら。
『俺は喜んで人でなしになるよ』
道理は護るべきだ。
弱い者は助けるべきだ。
一般的な当たり前は守られてしかるべきだ。
善人は幸せであるべきだ。
だけど、俺の大事な人たちは……俺の護りたいものは何であっても、どんな犠牲を払おうと。
『幸せになってほしい』
願わくば、そいつの幸せにちょっとだけでも俺が組み込まれているなら嬉しい。
そう思うよ。
『だからレベッカ。俺にできることは何でも手を貸す。こんなのでも海軍やってるから』
「…………ありがとう。あなた、強いのね」
『ははっ、まさか！………強いけど、誰よりも弱いよ、俺は』
レベッカの生い立ちも聞いた。
聞いたうえで俺はこの行動を取る。レベッカだって、哀れみを受けるだけの人生なんか望んでいない筈だ。戦って戦って、今も戦い続けている。
俺もレベッカも、大事なものの為に。
「じゃあ、お願いがあるんだけど」
『ん？』
レベッカが笑いながら口を開いた。
その顔に邪気はない。
「今回の大会、私を応援してくれる？」
『………ああ。絶対に勝てよ。いや、俺の応援パワーで絶対勝たせてやんよ』
「ホント？約束ね」
『ああ。約束だ』
握手を交わす。二人で笑い合う。
だがその時一際大きな歓声が遠くから聞こえた。耳障りな声……そして同時に解説者の発した文字も脳内に入ってくる。
「おおっと！男の足から繰り出された斬撃が、剣闘士アルゴを場外へと吹っ飛ばしたァ！！なんなんだ、あの男〜！！！」
『はァ！！？』
弾かれたように走り出し、モニターよりも近くにあったステージが見えるバルコニーのような場所に駆け寄る。突然の奇行に後ろからレベッカも追いかけてきた。
手摺から身を乗り出しながらステージ上を凝視する。
帽子はないけど見間違えるはずがない、黒いスーツ姿。
『ルッチさん……』
八百六十話目 「サプライズ最高ッ！！」→←八百五十八話目 「あくまで必要ならの話であって」
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涙腺崩壊日本人 - 2章まってます！！！！！ (2022年9月9日 21時) (
レス) @page50 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさんの為なら、いや、更新のためなら天に召されても良い、、、、 (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさん好き過ぎる作戦隊長さん、ありがとう感謝します私は貴方のおかげでルッチさんに目覚めることが出来ました！ワンピが帰ってくるのを待つぜ！更新お願いします！！超超超超超超超超超大好きです！ (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
ルッチさぁぁぁん - ホントわかる、、ルッチさん好き (2022年5月11日 23時) (レス) @page44 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
狐竜(プロフ) - ぴゃ！！！？？（大混乱）やった久々の更新！！！ほんともうこのシリーズのルッチさん大好きなんですよ私……嬉しい…！！！ (2022年3月28日 21時) (レス) @page46 id: 2674e8aa46 (このIDを非表示/違反報告)
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