八百五十七話目 「その前に条件がある」 ページ12
きっと剣闘士であろう彼女のその格好をマジマジと見ていれば、何を思っているのかバレたのであろう。苦笑いとともに教えられた。
「ここは血飛沫が見世物だから」
『……そ』
腕に一か所、脚に三か所。
傷口に血をにじませている彼女が達観したように笑う。
「見ない顔だけど」
『ちょっとドフラミンゴに用事があって』
ピリッと空気がひりついた。
目線だけで周囲を見る。片腕がない男、片足がえぐれている男、目がつぶれている男……そして目の前の彼女からも警戒を向けられた。
『ハァ……海軍だ。お決まりの正義のコートを着ていないのはさっきドフラミンゴのクソ野郎のせいで見ての通り服を汚されたからで嘘じゃない。今は着替えるためにトイレを探している』
仕方なく今の状況を口にした。正直もうべたべたで嫌なのだ。さっさと服を変えたい。
海軍という名前を出した瞬間に警戒は消え、代わりにざわつく鉄格子の向こう側。
「おや？」と思ってちらりと右の格子を向けば、丁度目が会った男が探るように聞いてくる。
「こ、コートってことは……偉いのか？」
『……まぁ。階級はある』
大将ですとは言えないよね。
更にざわついた牢屋の中。格子の間から傷だらけの腕が伸びてきて俺の足を掴んだ。
ギョッとして腕の主を見たが、その目は真剣そのもの。
「頼む……レベッカの話を、聞いてやってくれ」
『レベッカ？……あんたのことか』
正面にいるピンク色の髪の彼女は静かに頷いた。
もう一度男を見る。そしてぐるりと周囲を見回した。一様に真剣な顔で俺を見ている。
瞬間、ワァッと遠くで歓声が上がった。
『……わかった。だが、条件がある』
「なに？」
『トイレに連れてってくれ。というか着替えれる所ならなんでもいい』
『サンキュ』
「いいえ」
襟付きの白シャツに黒ズボンというまあどこに出ても文句は言われない格好になり、鉄格子の前に戻ってきた。トイレに行くよりも通路の突き当りで着替えたほうが手っ取り早いと言われ、レベッカが人払いをしてくれている間に着替えを終えた。
移動する道中になんとなく聞いたが、今日は月大会というものらしく、数ブロックに分かれて優勝者を決めるとのこと。レベッカはAブロックで勝ち残ったそうだ。
『強いんだな』
「……強くなんてない。私は誰よりも弱いわ」
『まあ、勝ち残ったって事は少なくとも負けた奴らよりは強いぜ』
「……ありがとう」
微笑んだレベッカ。
何とも言えなくて「ん」とだけ返しておいた。
八百五十八話目 「あくまで必要ならの話であって」→←八百五十六話目 「命令は絶対だもんなァ」
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涙腺崩壊日本人 - 2章まってます！！！！！ (2022年9月9日 21時) (
レス) @page50 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさんの為なら、いや、更新のためなら天に召されても良い、、、、 (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
涙腺崩壊日本人 - ルッチさん好き過ぎる作戦隊長さん、ありがとう感謝します私は貴方のおかげでルッチさんに目覚めることが出来ました！ワンピが帰ってくるのを待つぜ！更新お願いします！！超超超超超超超超超大好きです！ (2022年8月18日 0時) (レス) id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
ルッチさぁぁぁん - ホントわかる、、ルッチさん好き (2022年5月11日 23時) (レス) @page44 id: 66bf482254 (このIDを非表示/違反報告)
狐竜(プロフ) - ぴゃ！！！？？（大混乱）やった久々の更新！！！ほんともうこのシリーズのルッチさん大好きなんですよ私……嬉しい…！！！ (2022年3月28日 21時) (レス) @page46 id: 2674e8aa46 (このIDを非表示/違反報告)
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