八百四十三話目 「閑話休題 祝福の日」 ページ47
「おい。これはどういう状況だ」
「ひっ……ロブ・ルッチ」
七月二十一日。
前日の宣言通り、俺に薬を飲ませる時以外はほとんど寝て過ごした。
昼間のコイツが眠っている間に海賊船が絡んできたそうだが、お前らで何とかしろと報告に来た海兵に告げれば実際どうにかしたようだ。本人にこのことを言えば拗ねそうだから隠しておくが。
時刻は午後八時。サラダのドレッシングがかかってないとしょぼくれながら食堂へ行った奴が待てど暮らせど帰ってこないので探しに行ってみれば、カウンターで突っ伏しているバカを発見。
俺が声を発するまで周りの奴らはあたふたしたり、だらけた笑顔で絡みに行ったりしていた。
『んぁ……ルッチさん？』
「……何をしているのですか」
『んむ〜……え？』
「すみません。私が余計な事を言ったばっかりに」
困り果てたような船医が口を挟んだ。
どうやらカルテでこのバカの誕生日を把握していたらしく、この場でおめでとうと声をかけたらしい。するとコックが気を利かせてカクテルを出し……数杯飲んで潰れたと。
「……ほら、戻りますよ」
『ん』
腕を引っ張るが足に力が入らないらしく、背負うしかないらしい。
なんで俺がこんな事をと内心で毒づきながら背中に乗せる。
そのまま部屋に連れ帰り、ベッドにほおり投げた。スプリングで身体が跳ねたのが面白かったのかケラケラ笑っている。
「ったく、手間のかかる」
『んぅ』
「なぜ飲んだ」
コイツは弱い強い以前に酒を飲まない。本人曰くジュースの方が好きだそうだ。
性格からしても酔った姿を見せるのは嫌いそうなもので、余計なぜこうなっているのかわからない。
『ん〜……なんか、おめでとって言われて』
「あ？」
『みんなにそー言われて』
「………」
『もやもやするから、のんだ！』
またケラケラと笑う奴にため息を溢す。
俺の様子にきょとん？と首を傾げるバカの額を小突けば今度はくすぐったそうに笑った。
「ヤケ酒か」
『かなぁ？』
ふへへ、と笑うバカの横に寝転がればじいっと赤い目が俺をとらえる。
その目が一瞬だけ動いて、すぐに瞼に隠された。
『じゅうじか……あと、ちょっと』
「……何がだ？」
今なら、きっと口を滑らせる。
『たんじょうび、おわんの』
「早く終わってほしいのか？」
『うん』
「どうしてだ」
『おれが、うまれちゃった日だから』
はは、と残念そうに笑うバカを抱きしめた。
ごめんなさいと呟くバカに、俺はなにも言えなかった。
ただ、強く抱きしめた。
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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