八百二十九話目 「脚の上」 ページ33
ルッチさんの薬も半分近くになってきた今日この頃。
相変わらず離してくれないルッチさんの腕から能力で逃げだしてご飯を取りに行き、二人で朝食を平らげてから俺は書類に、ルッチさんはニュースクーが運んできた新聞に目を通す。
『うっし、おーわり』
本部から持ってきていた書類も底をついて本格的にやることがなくなってしまった。昨日の夜にヴェルと通話する用件があったので追加の書類もあるなら送っといてくれと頼んでおいた。口調からしていくらかあるようだったからそのうち届くだろう。
しかし困った、やることがない。椅子に座ってクルクルとまわっていればそれに気づいたルッチさんがポンポンと自分の座っているソファの空白部分を叩く。
『なんですか？』
「ん」
座れって事は分かるが……まあ、機嫌を損ねられても気まずいしでストンと腰を降ろす。すぐに新聞をめくる手とは逆の手が頭頂部に降ってきてゆるゆると撫でられた。
『手慰みの為なら他をあたってくださいよ』
「他がいねえからこうなってるんだろうが」
『確かにハットリちゃんもいないですしね……銀もお眠ですし』
最近はよくルッチさんに遊んでもらっている銀だが、今はご自分の寝床で夢の中だ。
髪をひと房人差し指ですくってクルクルと巻き付けて遊んでいるルッチさんをジト目で見る。それ、そのいじり方、好きっすね。当のご本人は新聞から顔上げないですけど。
で、そうやって巻き付けて遊んだ後は何もしてませんとでも言うように毛並みを揃えるように丁寧に撫でられる。ふぁ………くそ、ねみい。
「…………肩までは貸すが、脚は貸さんぞ」
新聞を読む俺に寄り掛かって眠ってしまったバカだったが、そのままずるっと足の上に倒れてきた。間抜け面を拝めるのは気分がいいが、新聞まで巻き込まれてしまってはたまったものじゃない。無理に引っ張って破るのも本意ではない。
仕方ない、癪だが諦めるか。
するりと頬を撫でた。時刻は午前十一時半………あと三十分後には起きてもらう事にしようか。
たんこぶを擦りながら昼飯のサンドイッチに齧りつく。
目の前には無表情のルッチさん。何を隠そうこのお方こそがたんこぶの原因である。
『ルッチさん』
「なんだ」
『言う事ありません？』
「ないな」
『………ぶっ殺しますよ割とマジで』
瞼を開けて、視界がクリアになったと思ったらルッチさんが俺を見下ろしていた。で、頬を撫でられていた。
と思ったらなんか知らんが拳骨された。
八百三十話目 「見せかけて―の」→←八百二十八話目 「理由は分かった」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
