八百二十五話目 「死ぬほど嫌なら断って」 ページ29
あれからしばらく喋り続け、外が暗くなるころにチョッパーは階下へと引っ込んでいった。
さあて、俺も寝ようかなとか思いながら欠伸を漏らしつつ掛け布団を引っ張り上げる。結構冷えるな……よく考えたらまた冬島だし。ネコにはとことん悪条件。
いや……つーかマジで寒いな。お、ルッチさんの手がいいところに。
せめて手だけでもあったまりたいと何となく思ってしまい、半ば強引にルッチさんの指の間に自分の指をねじ込んだ。割とあったかい。やったね。
「性懲りもなく人の手で遊ぶな」
『ッ！……なんだ、起きてたんですか』
「さっき起きた」
くあ、と欠伸の声が聞こえる。その後、ぐりぐりと額が背中にこすりつけられる感覚。やっぱりくすぐったくてクスクス笑えば腹に回されている腕に力が込められた。苦しくはない。ただ、ルッチさんに近づいたからさっきよりあったかい。
『ルッチさーん』
「なんだ」
『……ちょっとだけ我儘言っていいですか？』
「………ん」
『死ぬほど嫌ならいいんですけど………ぎゅぅってしてくれません？』
「………」
この無言である。よって言った後で後悔した。
絶対これ次のカットで笑われるヤツだ。鼻で笑われるヤツ。あーあ、前言撤回したいなあ！
いや、返事くらいしてほしいんですけどと後ろをチラ見しようとした瞬間、ぎゅうっと力いっぱい抱きしめられた。片方の手は腹に回されたまま、もう片方は肩口を抱き寄せるように。
足も絡め取られ、ルッチさんの顎が俺の頭頂部に乗っけられた。全身で抱きかかえられているようにされる。
「お前にも可愛げはあったんだな」
『………酷くないですか？』
「ククッ、拗ねるな」
『拗ねてないです………前から思ってたんですけどルッチさんいい匂いしますよね』
「なんだ藪から棒に」
『……なんとなくです』
「そうか」
『………そっち向いていいですか？』
「あァ」
力を緩められたのでもぞもぞとルッチさんの方を向く。目線を上げて顔を見ようとしたがそれより先にまた力強く抱きしめられた。香水なのか？すごく落ち着く匂いを吸い込むように、ゆっくり大きく呼吸をした。
『あー、ルッチさんの匂い好きだぁ……いい匂い』
「同じのを使えばいいだろ」
『絶対高いでしょ』
「少しなら分けてやらんこともない」
『んー……じゃあ貰います』
香水つける習慣はないからそんなに使わないかもしれないけど。
あ、でも好きな香水は枕とかに振っておくとよく寝れるってたしぎちゃんが言ってたな。
八百二十六話目 「ドクターーーーーストォォォップ」→←八百二十四話目 「それでもいつかきっと」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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