八百二十一話目 「すぐそこにあった死」 ページ25
『ッてぇ！！』
「喧しい」
微睡から一気に覚醒した意識。
俺の髪の毛を鷲掴みして至近距離で睨んできているルッチさん。
『痛い！痛いですルッチさん！！』
「どうしてこんなことになっている」
『はぁ！？』
「答えろ」
『いででで！！どうしてもこうしても、ルッチさんが死にそうだったからで！！』
「放っておけと言ったはずだが？」
『はい！？いや無理に決まってでででででで痛い！！』
更に髪の毛を掴む力を強められたせいでブチブチっと音がした。
絶対数本千切れたよね！？千切れたよね！！？
これ以上持っていかれないように両手でルッチさんの腕を掴んで抵抗する。
「任務はどうした」
『任務より人命優先でしょ！』
「護衛ごときになに馬鹿な事を言っている」
『ッ！………仕方ないじゃないですか！！死んでほしくなかったんですよ！！！！』
腹の底から声を出して叫べばルッチさんの手の力が弱まった。
そして声に出したことで蘇るあの時の恐怖。ぽろぽろとあふれ出した涙を見せたくなくて両手で顔を覆った。
『ルッチさん……苦しそうで、きつそうで………死ぬかもしれないって思ったら俺』
「………」
『勝手なことして……ごめんなさい……でも、俺、ルッチさんが』
「もう黙れ」
平坦な声で言われて肩を跳ねさせたが、その跳ねた肩ごと何かに包まれた。
俺の体温より少し低い腕が俺の背中とベッドの間にねじ込むように回される。少し体が浮いたと思えばそのまま抱きしめられた。
「泣くなバカヤロウ」
『ルッチさん………ルッチさん………！』
「なんだ」
『もう大丈夫ですか？……もう、死なない？』
「死んでたまるか」
『ホントに？………ホントに死なない？』
「ああ。本当だ」
『……うぅ……よかったッ………間に合って、よかったぁ……』
「………ああ」
今度は安堵で涙が止まらない。
しゃくりあげながら泣いていれば少し体を離したルッチさんが喉奥でクツクツ笑っているらしかった。誰のせいでこうなってると思ってるんだ。
『笑わない、で……くださ……』
「すまん。面白くてな」
『………さいあく。ホント嫌い』
「元からだろう？」
『……はい』
「なら問題ない」
左手で背中をさすりながら、右手で涙を拭ってくれるルッチさんなんて嫌いだ。
「……眠い」
『は？』
「そっち詰めろ」
『いや、え？は？』
俺のベッドにもぐりこんできたルッチさんは、俺を抱いたまま目を瞑った。
……ああ。もう。本当にこの人は。
俺は黙ってルッチさんに擦り寄った。
八百二十二話目 「如何にもタコにも驚きました」→←八百二十話目 「どこまでもバカ」
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夜月レナ(プロフ) - はじめまして(*^-^*)すごく楽しんでに読ませてもらってます（語彙力orz） 更新頑張って下さい(’-’*)♪ (2019年9月6日 21時) (
レス) id: 1844904407 (このIDを非表示/違反報告)
sile - いや最高すぎません？？めちゃくそルッチさん好みにどストライクなんですが。ルッチさんオチだといいなと思ってます(してほしい)ゆっくりで構わないので更新頑張ってください！お体には十分気を使った上でですよ…？w (2019年8月18日 0時) (レス) id: 801c11ec84 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 最高です。これからも応援してます。 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 199549db1c (このIDを非表示/違反報告)
レン - ウォォォォォォォォオ！！！！！！！メッチャ面白かった！！！さっっっっっっっいこっう (2019年7月18日 6時) (レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
シスター - 初めまして。シスターと申します。最初の作品から見させて頂きましたが、良い展開になって来ましたね！次が更新されるのが楽しみ過ぎて眠れないですwオチはルッチさんですかね？私の推しなので嬉しいです！ (2019年6月11日 11時) (レス) id: be6a289acb (このIDを非表示/違反報告)
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