七百八十一話目 「もしかしてもしかすると」 ページ31
船の動きが止まった。
濃霧が立ち込める港、暗い空……あの馬鹿の言っていた通り、スリラーバーグへと明け方近くに到着したが、おおよそ景色は朝ではない。船室前の照明の明かりで辛うじて周辺は明るいが、甲板の先の方などは仄暗く、不気味な様相を呈している。
何かに見られている気がして辺りを見渡したが人影はない。少し遠くに見張りの海兵が立っているのみだ。
「………ッ！？」
視界の端で何かがちらりと動き、そちらに体を向ける。
黒と紫が混じったような影が動いている。攻撃するべきかと態勢を低くしたとき、背後から声がした。
「キーッシッシッシ！お前強そうな影じゃねえか！」
背後の床から上半身だけ姿を現していたのは七武海のゲッコー・モリア。何か黒いものを片手に握っているのを認識するかしないかのところで、意識が遠くなった。
パチリと目が覚めた。聞き覚えのある笑い声が聞こえたからだ。
ベッドを飛び降り、船室のドアを蹴破る勢いで開ければ、声の主、らっきょことモリアがいた。奴の足元にはルッチさんが倒れている。
『モリア！？』
「テメェにちょっかいかける勇気はねえが、こいつの影は中々に上玉だ、ありがたくもらって行くぜ！！」
『あぁ！？』
「あばよ！！」
『っ！？テメェ！！！』
床へと消えていくモリアに拳を振りかざしたが、俺の拳は見事に空振り。
くそが！！と吐き捨て、ダンッ！！と床を踏んだ。
そこで漸くルッチさんがやばいことを思い出し、慌ててゆさぶる。
『ルッチさん、ルッチさん！！』
「………ぐっ」
『ルッチさん！！』
「……っ、聞こえている」
『よかった』
上体を起こしたルッチさんに抱き着けば、背中をポンポンと叩かれ落ち着けと呪文のように繰り返された。俺の方が取り乱している時点で情けないが、殺されたんじゃないかと気が気じゃなかったのだ。
『怪我は……ないみたいですね』
「あぁ」
『でもなんか変な事言ってたんですよね、あのらっきょ』
「少なくとも、お前が狙いではなかったようだな」
『ですね。立てますか？』
立ち上がり、パンパンとズボンをはたくルッチさん。
何か違和感がある。あ、外が暗いや。スリラーバーグ到着したんだな。
「お前に何もなかったならとりあえずはいい」
『そんなもんなんですか………あれ？』
「どうした」
『ルッチさん、死んじゃったんですか？』
「バカヤロウ、死んだ覚えはねえ」
『え、でも……』
影、ないですよ。
その声は、生ぬるい風にのって消えて行った。
七百八十二話目 「理解不能で意味不明！！」→←駄作者の部屋 第四十三夜「アンケート」
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レン - 最後から6行目わざとなのか？ (2019年7月17日 18時) (
レス) id: dc4a31061c (このIDを非表示/違反報告)
佐原雛美 - いつも、楽しみにしてます！！突然で申し訳ないのですが、Twitterってやられてますか？ (2019年1月4日 1時) (レス) id: 0d00d7f289 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ - とっても面白いです!!これからも更新頑張って下さい！待ってます。 (2019年1月1日 9時) (レス) id: 1b98bfe505 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 作戦隊長さんの優しさに甘えまたコメントを送らせていただきます！ 色気たっぷりのクロコダイルさんがめちゃくちゃ楽しそうにいじってくるのも、すっかり忘れられて不機嫌になってるルッチさんもすごく好きすぎてにやけます。これからもずっと応援してます！！ (2018年12月8日 15時) (レス) id: d52fef5ccc (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください！更新待ってます！ (2018年12月5日 15時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
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