六百八十六話目 「つきり」 ページ30
ワクチンを打つのは船に乗ってからということになった。というか俺がそういった。
理由は言わなかったが、納得してくれて助かったぜ。理由ですか？ルッチさんが関わるとめんどくさそうだからです。あの人戻ってくるまでにどうにかしなきゃだなあ。
ついでだが、脱出用でもう一隻船を置いていたらしく(気づかなかった)、そっちに向かって進んでいる。一行の後ろを着いて行きながら下っ端に聞いてみた。
『因みに、さっきが最後のワクチンか？』
「壊された船にはいくつかあったはずなんすが……最後っすね」
『……そうか』
森をしばらく進むと海が見え始め、小さめの船が浮いていた。
さて、乗り込もうとしたときに、後ろから飛んできた殺気。全員がそのおぞましさは感じたようで、数十人がほぼ同時にぴたりと動きを止めた。
『げ……』
木々の中から静かに現れたのはルッチさんだ。それも無表情。だけど雰囲気でわかる。確実に俺に敵意を向けている。それも給仕の時とは比べ物にならないほどにだ。
だけどここでビビってたら始まらない。多分だけど状況をなんにもわかっていないルッチさんは下手踏むとここにいる全員抹殺しそうだ。そんなことしてれば恐らく最中でワクチンはポイってされる。めっちゃ困る。
「……何をしている」
『………』
「見ての通りだというならば……貴様を始末するしかないが？」
確実に殺られる。
少しくらい気づいてくれてもいいんじゃないかな。なんで疑いゼロで寝返ったと思ってるのあの人。むしろ純粋かよ。まさか給仕の時の疑いがぶり返してきてんのかな……まあ、仕方ないか。俺、元々は不審者だし。
つきりと痛んだ胸には気づかなかったことにした。
「元お仲間さんか？」
『……ああ』
「ならこれを使え」
投げてよこされたのは二本の注射。片方にはバツ印がついている。
どういう意味だと偉い奴をにらめば、にやにやしながら続きを言われる。
「そいつにそのウイルスを打ってやれ。なに、打って三分もすれば痛みが出る。ワクチンはお前のモンだ。いいか、バツ印がワクチンだぞ！」
『……要するに、元同僚を殺せと。いい趣味してやがる』
「そのくらいの覚悟は見せてもらわねえとな。それが出来れば晴れて仲間だ」
じっと二つの注射器を見つめる。俺もルッチさんも感染している。お互いに傷を負ってしまっては即死だ。ルッチさんは知る由もないから攻撃してくるだろうが、俺はロギアで受け流せばいい。俺は攻撃できないけど。
六百八十七話目 「お前は俺が」→←六百八十五話目 「なかなかにヤバイやつや……」
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作戦隊長(プロフ) - うみうしさん» 一年越しに気づきました。そして見事に掲載し忘れてますね………どうしましょ(´・ω・｀) (2018年11月11日 14時) (
レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
うみうし(プロフ) - 六百八十四話「え？」 (2018年11月10日 17時) (レス) id: 314bb7876c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - まとめてコメント返し失礼致しますm(*_ _)mありがとうございます、バイトでひぃひぃ言ってるので厳しいところもありますが、できるだけ返信していきたいと思います。今後ともよろしくお願いします！ (2017年9月11日 20時) (レス) id: 11460b30b2 (このIDを非表示/違反報告)
なな - あ、もちろん作戦隊長さんの作品大好きです！更新頑張ってください！ (2017年8月25日 12時) (レス) id: c3374e0373 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 作戦隊長さん、前みたいに顔文字とかを入れたらもっと面白くなるんじゃないかと思ったのですが…どうでしょうか？？( ´・ω・` ) 時間がなかったりしたらすみません (2017年8月25日 12時) (レス) id: c3374e0373 (このIDを非表示/違反報告)
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