六百八十三話目 「同僚と兄貴」 ページ28
「指銃」
「ぐはっ！」
どんな戦場にも腰が抜けて逃げ出す輩というものはいるもので。
ルッチが高い所から眺めている間にも、戦線を離脱する男たちがいた。
今のところあのバカも変わった風ではない。まあ、殺しを行っている姿自体が新鮮ではあるが。
何か起こるにしてもまだ先の事だろうと腑抜けの始末に腰を上げたのだ。
森が続く無人島。木々が多く見通しは悪いがなんてことは無い。途中聞こえた轟音がやや気になるが。
しかしそれ以外に変わったことも起こらず。轟音から十分が経った頃に逃げる男たちの背をとらえた。逃げ足が速い男たちもルッチに追われて敵う訳はなく、直ぐに死体へと変わった。
「こんなものか」
転がっている三つの死体を眺めながら、指に着いた血を払ったルッチ。
波の音がしてそちらに目をやれば海が見えた。追っている内に島の端まで来てしまったらしい。そこまで大きくはないと言え、随分戻らねばいけないなと踵を返したとき、何者かの気配を感じる。
「………誰だ」
「人に名前を聞くときは自分からって教わらなかったのかよい」
空から降りてきたのは奇抜な頭の男。こんなところで会うには意外な有名人にルッチは目を見開く。開けられているシャツから覗くマークは白ひげ海賊団のシンボル。
「不死鳥マルコか……」
「そういうアンタはロブ・ルッチだな？妹がお世話になってるよい」
「なぜ俺の名を知っている。妹とは一体どういう意味だ」
「あー、アイツ言ってねえのかい」
弱ったねい、と零す海賊に敵意むき出しのルッチ。
一方のらりくらりと、身構える様子すら見せないマルコは腕を組んで空を眺める。
「空模様が怪しいからねい、少し羽休めだよい。ドンパチやる気は更々ねえ」
「海賊を見逃せと？」
「売られた喧嘩は買うけどねい」
ニヤリと笑うマルコに舌打ちを零して背を向けたルッチ。
其のままスタスタと去っていく背中にマルコが小さく零す。
「……ホントは一発ぶん殴ってやりたいが……後がおっかねえよい」
五分ほどが経った。
チームBはほとんど居なくなった。
此処までで俺が理解したことを纏めておこうと思う。
どうやら奴らが作ったウイルスは感染するだけでは何も起こらない。
但し感染した奴が傷を負うと口から血を吐いて絶命。死ぬのはチームBだけの様なので、チームAの皆様はワクチンか何か打ってるのだろう。俺も欲しい。
そして一番厄介なことは………恐らくだけど、俺もルッチさんも感染しちゃった気がする。
六百八十五話目 「なかなかにヤバイやつや……」→←六百八十二話目 「バイオハザードにはご注意を」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 734人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
S��N、海賊の世界に飛んだ一般ピーポーは最強と言う肩書を持ってしまいました。 底辺歌い手として楽しんでいたはずだったのですが(真顔) 底辺歌い手として活動していましたが上を目指してみようと思います（白目）もっと見る
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
作戦隊長(プロフ) - うみうしさん» 一年越しに気づきました。そして見事に掲載し忘れてますね………どうしましょ(´・ω・｀) (2018年11月11日 14時) (
レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
うみうし(プロフ) - 六百八十四話「え？」 (2018年11月10日 17時) (レス) id: 314bb7876c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - まとめてコメント返し失礼致しますm(*_ _)mありがとうございます、バイトでひぃひぃ言ってるので厳しいところもありますが、できるだけ返信していきたいと思います。今後ともよろしくお願いします！ (2017年9月11日 20時) (レス) id: 11460b30b2 (このIDを非表示/違反報告)
なな - あ、もちろん作戦隊長さんの作品大好きです！更新頑張ってください！ (2017年8月25日 12時) (レス) id: c3374e0373 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 作戦隊長さん、前みたいに顔文字とかを入れたらもっと面白くなるんじゃないかと思ったのですが…どうでしょうか？？( ´・ω・` ) 時間がなかったりしたらすみません (2017年8月25日 12時) (レス) id: c3374e0373 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
