五百六十九話目 「影に手を伸ばす」 ページ10
息が苦しい。暗いよ……誰も居ない。
なんで誰も居ない？ああ、そうだ私がみんな、私のせいでみんな。
『あ……あぁ……』
私は一人ぼっちになったんだった。
誰も居ない、独りぼっち。どこにも居場所がないんじゃない、私の居場所から人が、人だけが消えたんだ。
どこにいるの？お父さん、お母さん、颯太……もう「私」は、いや……「俺」も、
『だ、れ……か』
暗いんだ。冷たいんだ。
お願い、誰でもいいから……俺を、
『た、すけ』
突然、視界が光に包まれた。それを背に立っている影は誰だろうか。
まばゆい明かりに目を焼かれながらも、手を伸ばす。
逆光で真っ黒な誰かは、俺の弱弱しい手をしっかりと握ってくれた。ああ、誰かは知らないけど……。
『あ、りが……と』
ふ、と最後に自分が笑った気がした。それを目の前の人物に問う前に、意識には靄がかかり、やがて何も分からなくなった。
咄嗟に握った手から力が完全に抜けた。
顔面から床へ激突しようとする奴をとめる為、腕を引っ張り上げ逆の手で腰を支える。
「なにをしてたんだこのバカは」
大方、ドアが開かないように外から細工してあったのと電気を消されていたのを見れば予想はつく。が、コイツの性格からするにそれだけではこうもなるまい。
俺がドアを開けた時、コイツの目は虚ろだった。俺を見ているようで見ていない。そうじゃなかったらコイツが俺に手を伸ばすなんぞありえない。
「……放置してもいいが」
チラと横を見れば白い毛玉が二つ、じっとこちらを見ている。
奴の白いのは兎も角、俺の白いのは拗ねるとご機嫌取りが厄介だ。この前の怪我させた一件では三日ほど素っ気なかった。
「クルッポー！」
考えてることなどお見通しだとでも言わんばかりにハットリが鳴く。
俺はため息を一つ洩らし、Aの身体を持ち上げた。
目を覚ませばベッドの上だった。因みに目の前は壁。俺様、さっそく大パニックです。
はっきり言おう、俺はどうやって倉庫から脱出したんですか？
見事に床に大の字になって眠ったことは覚えている。しかしそこから先はなーんにも覚えていない。綺麗にそこだけポーンと抜けている。
そしてパニックの一番の原因。これ、俺のベッドじゃない。
『落ち着け、素数を数えよう。さすれば平静を取り戻せる………よし、まず１でしょ？……あれ、１って素数だっけ？』
「バカヤロウ、素数は2からだ」
『あ、そうだった！……ん？』
「なんだ？」
『……俺、今日命日ですか？』
五百七十話目 「命日を神回避」→←五百六十八話目 「走れ！救い出せ！」
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コリー - おい作者ぁぁ………………………… なんでこんなに面白いんですか！！！むちゃくそに面白いじゃないですか！呼び捨てにしてすみません作者様！！ 宿題進みませんよ、まったく…書いてくださってありがとうございます！生きがいです！！(・▽・)♭ (2020年5月16日 19時) (
レス) id: 40d23dab50 (このIDを非表示/違反報告)
化け狸 - 十四章目……もう入るんスか早いっスねぇ( ・∇・) (2017年1月12日 19時) (レス) id: 9e16e8366e (このIDを非表示/違反報告)
エルフ・シャープナー(プロフ) - もう容量MAXだと!?早いな〜 (2017年1月12日 19時) (レス) id: 01727032ce (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - クレアさん» さぁ〜どうでしょうｗお楽しみにです♪ (2017年1月11日 21時) (レス) id: 30b6b72099 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - シリアス入っちゃう？( ・ w ・ ) (2017年1月11日 6時) (レス) id: 582b981685 (このIDを非表示/違反報告)
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