五百九十九話目 「上等」 ページ41
上着を脱ぎ、持ってろと投げてよこしたルッチさん。
そんなこんなしてればハットリちゃんが戻ってきた。
「ハットリに破片が当たると事だ。護っていろ」
『了解です。ハットリちゃん』
呼べば素直に俺の腕の中に納まったお利口さん。
苦しくない程度に両手で抱いて、背中を向けた。背後からキュッと靴底と氷が鳴らす音がして、俺まで緊張する。
「海楼石は能力を受け付けない……だが、単純なパワーならば」
ハットリちゃんが応援するように鳴く。
俺はと言えばルッチさんのオーラだけで腰を抜かしそうです。ぬかさないけど。
「……六王銃！」
ドゴォン！と物凄い音がした。ルッチさんが危惧した破片などは一切飛んでこなかったが、衝撃が半端じゃなかった。
恐る恐る振り返ると、壁には大穴。ぶっ壊した当の本人は落ちた帽子を拾い上げていた。
ハットリちゃんが嬉しそうに鳴きながら飛んでいく。
「クルッポー！」
『……すげぇ』
もうなんか色々すげえ。
言葉に出来ませんけど、誰かルッチさんを形容する言葉を教えてください。大募集しますんで、俺の語彙力じゃ無理だから。
「行くぞ」
『あっ、はい！』
上着を渡しながら一緒に出口に向かい駆ける。
外に出ればとんでもない光景が広がっていた。
「……やられた」
『マジですか……』
俺たちが乗ってきた船からは火の手が上がっており、ほとんど沈みかけ。
遠目で分かるが、死体がいくつも転がっている。生存者の望みは薄い。
「敵は……あそこか」
『遠いですね。月歩で追いつけますか？』
「距離的に無理だ」
小さく見える船が恐らく敵が乗っているそれだろうが、如何せん遠すぎる。
船がない状況で追跡は不可能。どう考えても相手の作戦勝ちだ。
俺たちが洞窟に足を踏み入れた時点で囮の一人だけを残し、他は船を襲撃したんだろう。あの二股に分かれる道やトラップは時間稼ぎにもなっていたはずだ。
「任務失敗だ」
『やばいですか？』
「相当な」
『……ルッチさん』
「なんだ」
イライラしながら電伝虫を取り出しているルッチさんに声をかける。
眉間に皺を寄せながらおっかない顔で返事をしてきた彼に泣きそうになったが泣いてる場合ではないと堪えた。頑張ったぞ俺。
『最初の任務が失敗は嫌です』
「だからなんだ」
『だから……一緒にぶっ倒しに行きませんか？』
片腕を不死鳥の羽に変え、恐る恐る聞いてみた。
一瞬、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をした彼だったが、すぐにニヤリと笑って一言。
「上等」
六百話目 「愛情表現だ」→←五百九十八話目 「どうにかしろ(命令)」
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コリー - おい作者ぁぁ………………………… なんでこんなに面白いんですか！！！むちゃくそに面白いじゃないですか！呼び捨てにしてすみません作者様！！ 宿題進みませんよ、まったく…書いてくださってありがとうございます！生きがいです！！(・▽・)♭ (2020年5月16日 19時) (
レス) id: 40d23dab50 (このIDを非表示/違反報告)
化け狸 - 十四章目……もう入るんスか早いっスねぇ( ・∇・) (2017年1月12日 19時) (レス) id: 9e16e8366e (このIDを非表示/違反報告)
エルフ・シャープナー(プロフ) - もう容量MAXだと!?早いな〜 (2017年1月12日 19時) (レス) id: 01727032ce (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - クレアさん» さぁ〜どうでしょうｗお楽しみにです♪ (2017年1月11日 21時) (レス) id: 30b6b72099 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - シリアス入っちゃう？( ・ w ・ ) (2017年1月11日 6時) (レス) id: 582b981685 (このIDを非表示/違反報告)
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