五百六十四話目 「誘導尋問卑怯なり」 ページ5
『失礼します……』
ルッチさんの部屋に入ったが部屋の主が起きている気配はない。やっぱりオフだからまだ寝てるなこりゃ。
ベッドに目を向ければやっぱ寝てた。足音を消してそろりそろりと近寄る。
名前を呼んで起こした方がいいか、揺り起すか悩んだが、正直この部屋からさっさと退出したい俺は迷わず後者を選んだ。
すーすーと寝息を立てているルッチさんの肩を揺さぶってみる。
『ルッチさん朝』
ですよ、という文字が口から出る前に世界がぐるんと反転して、そのうち柔らかい衝撃を背中に感じた。
どうやらベッドに向かって投げ飛ばされたと分かったのは二秒後ほどで、ついでにルッチさんに馬乗りになられると気づいたのは三秒後。右手首を抑えられ、彼の左手は顔の横だ。
めちゃくちゃ睨みながらそんな体勢なので、正直泣きたい。この状況で自分がまだ泣いてないのが不思議でならない。
『すみません！起こし方悪かったですね！！』
「………俺の眠りは浅い」
『へ？』
全く関係ないルッチさん情報を口にされ、間抜けな声が出る。
仕方ないだろう。そんなこと言われても仕方がない。
「誰かがいると眠れん。人が部屋に入ってくれば気配で起きる。声もだ」
『は……はあ』
「なぜお前が来ても俺は目覚めない。相当な手練れでもない限り、触れられてやっと起きるなどありえない」
そりゃそうだろう。ルッチさんは生粋の暗殺者。ということは俺がびっくりするくらいに疎い気配やらなにやらには敏感なはずだ。それが全く俺相手には機能しない……と、そう言いたいらしい。
『つっ……疲れてたんじゃないですかね？』
「俺の方に要因があると？」
『あっ……いや、えっと、俺も気配消してたし……』
「消していたということは、意識的に消せるという事だな？」
右手首を握られている手に力が込められた。普通にめっちゃ痛い。
というか誘導尋問だよこんなん。酷いっつーか怖い。
「いい加減に吐け。場合によっては殺さん」
『殺されたくないので嫌です』
「殺されるようなことを隠しているととっても？」
『誘導尋問は卑怯ですよ』
「生憎、仕事柄でな」
でしょうね！
もう嫌だこの人、めちゃくちゃ怖いし厄介だし。
未だに決定的なボロを出していないのが奇跡だ。出したら一発で終わる。
『どいてください、復帰して早々に仕事はサボれません』
「……言うまでどかん」
『長官が煩いんです。長官が煩いのはクザンさんのせいなんです』
遠まわしにクザンに言いつけるぞと脅してみた。
五百六十五話目 「心の準備はいいか！？」→←五百六十三話目 「仕事復帰です」
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コリー - おい作者ぁぁ………………………… なんでこんなに面白いんですか！！！むちゃくそに面白いじゃないですか！呼び捨てにしてすみません作者様！！ 宿題進みませんよ、まったく…書いてくださってありがとうございます！生きがいです！！(・▽・)♭ (2020年5月16日 19時) (
レス) id: 40d23dab50 (このIDを非表示/違反報告)
化け狸 - 十四章目……もう入るんスか早いっスねぇ( ・∇・) (2017年1月12日 19時) (レス) id: 9e16e8366e (このIDを非表示/違反報告)
エルフ・シャープナー(プロフ) - もう容量MAXだと!?早いな〜 (2017年1月12日 19時) (レス) id: 01727032ce (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - クレアさん» さぁ〜どうでしょうｗお楽しみにです♪ (2017年1月11日 21時) (レス) id: 30b6b72099 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - シリアス入っちゃう？( ・ w ・ ) (2017年1月11日 6時) (レス) id: 582b981685 (このIDを非表示/違反報告)
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