五百八十五話目 「行ってらっしゃいませ」 ページ26
背を押された奴は渋々と言ったように歩き始めた。しかし下は向いたままであるので、少し後ろを歩く海兵は必死に笑いをこらえている風だ。肩が小さく揺れている。
耐えきれなくなったように海兵が口を開いた。
「ほら、皆さんがあんまりにも仰々しいから姐さんが照れてますよ」
その一言でますますコートのヤツは下を向くし、道を作って綺麗に並んでいるはずの海兵たちの間にも和やかな空気が流れた。それを感じ取ったのか姐さんと呼ばれた奴が後ろを振り返りながら言う。
『そもそもなんでこんなことになってんだよ！』
「知りませんよ。姐さんの知り合いばっかですけど、ほとんどはクザンさんの部下の方々が並んでるわけですし」
『アイツの差し金か……後でかき氷にしてやる』
物騒な事を紡ぐその声には聞き覚えがある。
いやしかし、そんな馬鹿な。確かにキャップから覗く髪の色や背丈は似ているが。
横のジャブラも何も言わない。何も言わないという事は確定はしていない。
『俺一人で行けるのによ……』
「それこそ格好がつきません。海軍からの派遣メンバーですよ」
『派遣社員だろうと正社員だろうとどーでもいいんだよ』
「そーですね」
『適当に流すんじゃねーっての』
「ほら、階段くらい顔あげて登ってください。足元が危うい人みたいになりますよ」
『分かっとるわ！』
ようやっと顔を上げたそいつ。
ばっちり俺とジャブラと目が合う。なんでいんの？と言った顔をしていたが、それは俺たちも同じだ。なんでお前が、そのコートを着て見送られている。
それじゃあまるでお前が……。
俺の疑問に全て答えるように、奴が階段の一段目に足をかけた瞬間、並んでいた海兵たちが一斉に敬礼をした。そして声をそろえてこう言う。
「「「「A大将！！行ってらっしゃいませ！！！！」」」」
階段を登りきり、大将と呼ばれた奴は振り返って手をあげた。
じゃーな！と笑顔で叫んだ奴はキャップを取って笑う。
『まさか迎えにいらっしゃってるとは思いませんでした』
「え……いや、あの」
確認したいことが山ほどあって、言葉にならない。
同じような状態だったジャブラが漸くおずおずと口を開いた。
「確認だがお前は……その、Aだよ……な？」
え？と素っ頓狂な声を上げたやつは言葉の真意を考えるように首を傾げた。
そして暫くしてニヤリと笑う。
『歌龍A。海軍本部の大将です』
ぺこりと頭を下げたAに、俺とジャブラが叫ぶまで三秒前。
五百八十六話目 「バカヤロウ」→←五百八十四話目 「待ち時間は暇なんですよ」
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コリー - おい作者ぁぁ………………………… なんでこんなに面白いんですか！！！むちゃくそに面白いじゃないですか！呼び捨てにしてすみません作者様！！ 宿題進みませんよ、まったく…書いてくださってありがとうございます！生きがいです！！(・▽・)♭ (2020年5月16日 19時) (
レス) id: 40d23dab50 (このIDを非表示/違反報告)
化け狸 - 十四章目……もう入るんスか早いっスねぇ( ・∇・) (2017年1月12日 19時) (レス) id: 9e16e8366e (このIDを非表示/違反報告)
エルフ・シャープナー(プロフ) - もう容量MAXだと!?早いな〜 (2017年1月12日 19時) (レス) id: 01727032ce (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - クレアさん» さぁ〜どうでしょうｗお楽しみにです♪ (2017年1月11日 21時) (レス) id: 30b6b72099 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - シリアス入っちゃう？( ・ w ・ ) (2017年1月11日 6時) (レス) id: 582b981685 (このIDを非表示/違反報告)
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