五百七十四話目 「おとといきやがれッポー！」 ページ15
もつれだした銀の足を見てハットリが眉をしかめる。
このまま走っていてはいつか追いつかれてしまう。傷を負った背中も痛々しい。
どうにか打開策をと頭を回転させていると、曲がり角の先から主人の足音が聞こえてきた。
「ポッポー！！」
「キュー！！」
最後の頑張りだとでも言うように鳴き、銀もそれに答えた。
おやつ時だというのにハットリが帰ってこない。
どこぞで昼寝でもしているのかと、散歩もかねて廊下を捜し歩いていた。
すると曲がり角の先から二つの人間の気配。走っているらしく足音が荒い。騒々しいと文句でも言ってやろうかと思っていれば、人間の姿よりも先に白い物が二つ姿を現した。
片方は探していた自分の相棒。ハットリは俺を見るなりやかましいほどの大きさで鳴いた。
「クルッポー！！！」
「ハットリ、何をしている。お前もだウサギ」
もう一つの白いかたまりは俺の靴に飛び乗り、ズボンの裾にしがみ付く。
飼い主と同じようにこのウサギは俺に怯える。最初は俺が豹だからかと思っていたが、ジャブラには懐いているのでそういう訳ではなさそうだ。
「ポッ！！クルッポ！！ポッポー！！」
「ハットリ、取敢えずお前は落ち着け」
俺の顔の正面でホバリングしながら鳴きまくるハットリ。
宥めたところで、曲がり角からようやく二人が姿を現した。女が二人、おそらく給仕だろう。名前は勿論知らん。
「クルッポー！！！」
「キューッ！」
俺の肩にとまり、大声で鳴くハットリとさらにしがみ付くウサギ。
どういう状況か全く分からないが、ハットリは確実に穏やかじゃない。怒っている。
「あっ、ルッチさん……」
「えっと、そのウサギを」
「コイツがどうかしたのか」
「いえ、その……」
口ごもった片方の女。
慌ててもう一人が口を開いた。
「Aから、逃げたから捕まえてくれって……その、頼まれまして」
「そ、そうです！だからこの子は預かりますね」
女が手を伸ばそうとしたとき、ハットリが床に飛び降りてウサギの正面で両羽を広げた。
全身の毛を逆立てて、鋭く鳴く。コイツに触るなということらしい。
「……俺が届けておこう」
「えっ……ですが」
「問題あるか？」
俺が睨めば、ヒッと小さく洩らして引き下がった。
女たちは目を泳がせながら失礼しましたといい、元来た道を早足で戻っていく。
ハットリは右羽を前に出して胸を張る。
「ポッポー！」
この鳴き方としぐさが指す意味は分かり易い。
「おとといきやがれ」だ。
五百七十五話目 「両肩に白いモフモフ」→←五百七十三話目 「成敗ッ！ ｂｙ二羽」
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コリー - おい作者ぁぁ………………………… なんでこんなに面白いんですか！！！むちゃくそに面白いじゃないですか！呼び捨てにしてすみません作者様！！ 宿題進みませんよ、まったく…書いてくださってありがとうございます！生きがいです！！(・▽・)♭ (2020年5月16日 19時) (
レス) id: 40d23dab50 (このIDを非表示/違反報告)
化け狸 - 十四章目……もう入るんスか早いっスねぇ( ・∇・) (2017年1月12日 19時) (レス) id: 9e16e8366e (このIDを非表示/違反報告)
エルフ・シャープナー(プロフ) - もう容量MAXだと!?早いな〜 (2017年1月12日 19時) (レス) id: 01727032ce (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - クレアさん» さぁ〜どうでしょうｗお楽しみにです♪ (2017年1月11日 21時) (レス) id: 30b6b72099 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - シリアス入っちゃう？( ・ w ・ ) (2017年1月11日 6時) (レス) id: 582b981685 (このIDを非表示/違反報告)
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