SⅥN、海賊の世界に飛んだ一般ピーポーは最強と言う肩書を持ってしまいました。 (ページ48)

今日:25 hit、昨日:10 hit、合計:663,633 hit

五百五十八話目　「目の下のクマさんが消えた」ページ48

『あーー、潮風じゃぁぁぁ』
「ちょっと姐さんなにやってるんですか！」
『おーその呼ばれ方ひっさしぶりぃ』
「そんなこと言ってないで、海に落ちますよ！！」

干された布団のように手すりにぶら下がっていればヴェルにめっちゃ怒られた。
海軍船の上、羽を伸ばしていたというのに不躾な。
しかたなく戻ればため息をつかれた。

「大将とは思えないくらいデローンってなってましたよ」
『まーじかよ』
「今もなおってないですけどね」
『そりゃ大変だ』

なんだかんだ三日たち、三十分ほど前にエニエスロビーを出た。
乗って早々アレンに抱きつかれたり追っかけまわされたりと大変だったが、ようやく一段落だ。きっとアレンをとめたのはヴェルだろう。

「どうですか、移転先は」
『そっちよりかは数万倍マシだよ』
「でしょうね」
『あ、でも』
「なんです？」
『一人だけおっかねえ』

本部に到着して、取敢えずセンゴクのところへ。
話を聞いていたらしいガープとおつるさんもいた。

「おお、久しぶりじゃな！」
「元気にしてたかい？」
『んー、怪我したけど元気』
「全く、給仕で行っておいて……」

頭を抱えるセンゴクには悪いが、怪我しちゃったもんは仕方がない。若干開き直っている。じいちゃんも流石じゃとかいって笑ってるし。

「ちゃんと寝れてるようだねえ。お肌の艶がいい」
『そこらへんは分かんねえが、クマは取れた』

暫く雑談をしてから元帥室を出た。
向かうはクザンの部屋。途中でたしぎちゃんにすれ違ったので、おそらくスモーカーも本部に居そうだ。暇があったら探そう。

『と思ったらいたのかよ』
「いたら悪いか？」
『んにゃ全然』
「おかえり～Aちゃん」

机に座って書類を書いているクザンを見て涙が出そうになったのは秘密だが、取敢えずお二人さんがそろっていた。スモーカーのほうは書類を貰いに来ただけようで、去り際に俺の頭をポンポンと撫でていった。
よっこいしょとソファに座る。勿論背もたれとは仲良くしない。

『随分まじめになったな』
「あったりまえでしょ。まあ三日にいっぺんさぼっちゃうけど」
『マシになったな』
「話は変わるけど、背中は大丈夫？」

ニヤニヤしながら聞いてくるところを見れば、おそらく俺のへったくそな演技を思い出しているのだろう。きっとあの時でも電伝虫越しにニヤニヤしてたんだろうな。
そう思うと無性にぶん殴りたくなってきた。