SⅥN、海賊の世界に飛んだ一般ピーポーは最強と言う肩書を持ってしまいました。 (ページ46)

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五百五十六話目　「小さなお見舞い」ページ46

激しく動いたせいで背中が痛い。
思い出したように痛いんだけどマジで。どんだけぱっくりやってるんだか。
だが、今はそんなことを言っている場合ではないらしい。

『ジャブラまで指銃癖あんの？カクの寝起きとルッチさんの脅しでお腹いっぱいなんだけど』
「俺はねーよ。それより今の動き……ホントにお前ただの給仕か？」
『いきなりしがーんってしてくる奴には教えたくねえなぁ』

ニヤつきながら報告書をジャブラに渡す。特に変な記述はない。
敵組織がルッチさんを捕まえた際に使ったとされる罠も「俺が知っている限り」正しい。
頭の中でいろいろ考えてて眉間に皺が寄ったのを勘違いしたのか、ジャブラが怪訝な顔で見てくる。

「……お前のウソは分かり易い」
『んだよ急に』
「だが、それがなんなのかは見抜けねえ。一番性質が悪い」
『悪かったな』
「心配するってこったよ」

ツンっと額を押され、後ろに倒れかける。
転倒すると背中がえらいことになるので腹筋で耐えた。頑張ったぞ俺。
何時になったら背中をベッドにあずけれることやら……悲しいぜ。

「とにかく、その傷治すこった」
『へーへー』
「あー、長官がぼやいてたぞ。コーヒーが不味いとな」

じゃあなと報告書をひらひらさせて出て行ったジャブラ。
急に静かになった部屋。耳鳴りがしてきそうだ。
銀はというと、何時の間にやら定位置で眠ってやがる。確かに兎さんにはしんどい時間帯だ。俺も寝るかとベッドに横になる。実際はうつぶせだが。

『みんな様子見に来てくれたなあ……』

カリファが最初でフクロウが来て……その後が長官でカクでしょ。ブルーノは果物くれたし、ジャブラとクマドリも来た。勢ぞろいじゃねえか。
その時、コンコンとどこからか音が。上体を起こしてキョロキョロとしていると再び同じ音。どうやら窓からだ。

『……誰だろ』

カーテンを開けて窓を開け、日よけまで開けてしまえば日光が差し込んできた。
眩しい光を背に、はばたいているシルエットは見慣れたものだ。

『ハットリちゃん！どうした？』

窓の桟にとまったハットリちゃんの嘴には一輪の花。
ピンク色で小さくて可愛らしいそれを誇らしげに銜えている。
雰囲気からするに、受け取れと言った感じだ。

『くれるのか？』
「クルッポ！」

その通りだとでも言うように高らかに鳴いたことでハットリちゃんの足元に花が落ちた。
慌てて再び銜え直してこちらを見てくる目に、こっちの心臓は破裂しそうだ。
なんだこの生き物は、萌え死ぬ。