SⅥN、海賊の世界に飛んだ一般ピーポーは最強と言う肩書を持ってしまいました。 (ページ5)

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五百十五話目　「納得のモテ男」ページ5

『おお、繁盛してるな』
「司法の塔の職員も使うからじゃな。今日はまだマシな方じゃぞ」

味もよく種類も豊富だから、たまに来るんじゃよと笑顔で教えてくれるカク。
ここの事を色んな人に教えてもらうが、どうでもいいことから大事なことまで一番多く教えてくれたのはやはりカクだ。面倒見がいいらしい。

『カクは兄ちゃんみたいだな』
「随分と唐突じゃな。もしそうじゃったらこんな強気な妹も珍しいぞ？」

それ、券売機で食べるものを買ってからそこに出すんじゃとニコニコして教えてくれた。まんざらでもないらしい。何かお気に入りがあるわけではないので、気分でハヤシライスを選んだ。

『カクはなんにしたんだ？』
「ワシは日替わりディナーじゃが……Aはハヤシライスか」

食堂のおばちゃんに券と番号カードを交換してもらい、お冷を持って空いた席に座る。
近くにいた女の子がキャアと黄色い声を上げた。おもっくそカクはモテていることが分かりましたよ。ですよねーって感じではあるが。

『モテモテですねえ』
「からかわんでくれ、恥ずかしいじゃろ」

小さい声で茶化せばホントに照れたように返された。ああ、そらモテるわ。納得だわ。
水で喉を潤していれば、そういえばとカクが口を開く。

「おぬし、兄でもおるんか？」
『いや、いねえよ。なんで？』
「さっき兄ちゃんと言っておったろ。自分の兄とわしが似ていたのかと思うてな」
『なあるほどね』
「Aは一人っ子か？」
『んにゃ、弟がいたよ』
「確かに、姉ちゃんって感じじゃな」

俺が過去形で言った意味に恐らく気づいているだろう。
だが、それを取り上げる訳でもなくそのままするっと話を続けるカク。
なんだかんだ空気は読めるんだなあと思ったが、同時にたまに繰り出される空気読まない発言はワザとということにも気づいた。微妙ですね。

「なんでそんな苦い顔しとるんじゃ」
『あ、出てた？』
「隠し事苦手じゃろ？」
『なぜばれたし』

フフンと得意げに笑ったカク。
俺もアハハと笑えば、後ろから名前を呼ばれた。

『あ、ジャブラ』
「なんだお前ら、仲良くなにやってんだ？」
『初食堂に連れてきてもらった』
「そういうジャブラは……まあ、飯じゃろうが」
「聞くだけ野暮ってもんだな」

隣座るぜとお伺いとも言えない断りを入れてから俺の横に腰を下ろしたジャブラ。
手には番号カードがあることから俺らと同じように料理待ちだな。