SⅥN、海賊の世界に飛んだ一般ピーポーは最強と言う肩書を持ってしまいました。 (ページ40)

今日:7 hit、昨日:10 hit、合計:663,615 hit

五百五十話目　「大げんか」ページ40

背中が痛い。ジクジクと疼く。
うっすらと目を開ければ……おお、枕が見える。そらそうだ、うつ伏せで寝てんだから。

『……自分の部屋か』

異次元を開き、かったるい腕を伸ばして籠を取り出した。扉を開ければ銀が出てくる。
俺の顔の横で心配そうに小さく鳴いた。

『おー、大丈夫だって。今に始まった事じゃねえし……そんなジト目で見ないでお願い』

部屋の扉が開く音がした。
起き上がるのが億劫なので首だけそちらに向ければ、新しい包帯を持ったカリファ。

「よかった……起きたわね」
『どのくらい寝てた？』
「丸一日ね」
『わーお』

色々と教えてもらいながら包帯を巻きなおしてもらった。
クザンからルッチさんが釘を刺されたこと、特に怒られはしなかったこと、あとは……任務中に何があったのか、おおよそはルッチさんの報告書で全員が分かった事。

「ルッチが捕まったってのも驚きだけど、それを貴方が助けたというほうが驚きだわ」
『一通りの色々なことは仕込まれてるんで。これでも海軍の人間だし』
「それもそうね。爆弾も持っていたの？」
『現地調達。迷子になってたもんで』

凄く嘘をついているが……まあいいだろう。
結果的にルッチさんを助けたわけだし。

「だとしても、ルッチを庇ってあなたが怪我するのはよくないわ」
『咄嗟だったもので……』
「女の子なんだから、護られててもいいのよ？ルッチは放っておいてても簡単には死なないし……」
『死なないし？』

俺が頭の上にいっぱいハテナを浮かべていると、再びドアが開いた。
顔を出したのはフクロウで、起きている俺を見てホッと一息ついている。

「よかったー、死んじゃったらどうしようかと思ったちゃぱー」
『縁起でもないことを』
「あ、そうだった。ジャブラとルッチが大ゲンカちゃぱー」
「止めろってことね。分かったわ」

ハァと大きなため息をついてカリファが立ち上がる。
そのまま靴音を鳴らしながら部屋から出ていった。おお、機嫌が悪そうです。
入れ替わりと言っちゃあアレだが、見送ったフクロウが部屋に入ってきた。

「ちゃぱぱー、あのままだったら今回は珍しくルッチが負けるかもだと思ったちゃぱー」
『ジャブラとルッチさんはどっちが強いんだ？』
「最近じゃもっぱらルッチだと思う……というか久しぶりの大ゲンカちゃぱー」
『え、ルッチさんとジャブラっていつも大ゲンカしてない？』
「あれはつつき合い程度なのだー」

要はあれか、大ゲンカと言うよりはバトってるってことか。