SⅥN、海賊の世界に飛んだ一般ピーポーは最強と言う肩書を持ってしまいました。 (ページ25)

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五百三十五話目　「見送った後は」ページ25

『能天気そうに見えますかね』
「ああ、もしくはバカだな」

酷過ぎないか？俺の事嫌いすぎるんじゃねえのかな。
やっぱりカクかジャブラがよかった……というか引き受けるんじゃなかった。

「夜はホテルから出るなよ」
『分かってます』
「攫われても困らんが、長官が煩いからな」

一言多いと思います。
分かったって言ってるからダメ押しいらないですよね？
もはや俺を苛めたいだけとしか思えない。つーか嫌いなら余計に喋りかけなくてもいいと思うんだがどうなんでしょうね。
ルッチさんがシャワーを浴びに行ったのを見届けて、ため息を零した。

深夜一時。
夕飯も食べて、ごろごろしていれば何時もの真っ黒いルッチさん。
ハットリちゃんがいないので何か足りない気がするが、まあ置いといてだ。

『気を付けてくださいね』
「……ああ」

明らかに不機嫌丸出しで返事をしたルッチさんは部屋から出ていった。
鍵を閉め、まだお風呂に入っていなかったのでシャワールームへ。
お湯をためる気分ではなかったので、今日はシャワーのみで。

『あー、さっぱり』

寝巻に着替え、頭にタオルを乗っけてソファに腰を下ろす。
手で濡れた髪の毛を優しくなでればとたんに乾いていく。ホント便利な体になったもんだとつくづく思う訳で。

『もう寝ようかな。どーせやることねえし』

ソファから立ち上がり、大きく伸びをした処でカーテンが閉められている窓の向こう……ベランダのところに何者かの気配を感じた。
一瞬、ルッチさんが帰って来たのかと思ったが、彼が出かけてまだ一時間ほどだ。流石に早すぎるだろう。という事は……。

『誰？場合によっては……』

異次元を開き、銀を呼ぶ。
籠を引っ張り出して扉を開けると相棒が飛び出してきた。
肩に乗っかったのを確認してから、もう一度問う。

『いい加減に……あれ？』

さっきまで得体のしれない気配だったのが急に知ったものに変わる。
なんだか拍子抜けしてしまって、のんびりゆったりとカーテンを開けた。
窓の向こうには見知った顔……ベランダの手すりによっかかって片手をあげるパイナポーがいた。

『なーにやってんだよマルコ。ここリゾート地だぜ？』
「それはこっちの台詞だよい」
『こっちにはこっちの用事があるんだよ』
「そりゃ悪かったねい」

頭をポンポンと撫でられたもんだからあやされた形になってしまった。
このナッポーは無駄におっさんじゃないという事だろうか。いちいち小馬鹿にしてくる。正直ムカツク。