SⅥN、海賊の世界に飛んだ一般ピーポーは最強と言う肩書を持ってしまいました。 (ページ19)

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五百二十九話目　「上陸？」ページ19

『じゃあねハットリちゃん』
「ポー」

名残惜しいが、ハットリちゃんとはここでお別れだ。
室内から甲板に移動したのはいいが、目の前には崖。おもっくそ崖。とてもじゃないが上陸できそうにない。

『こっから島に？』
「ああ。正面から入って警戒されるのは後々厄介だ」

確かに、一理あるだろう。
本来ならば正面から入らなければならないリゾート地に、裏から入れるあたりさすが政府の機関とでも言うべきか。
だが一般人としてここに居る俺からすれば、当然こんな断崖絶壁は登れないわけで。

『ルッチさん、俺こんなの登れません』
「分かってる。いちいち言うなバカヤロウ」

バカヤロウはひどいだろう。しかし登れない事実は転がったままだ。
どうすんだと首を傾げれば、ルッチさんが急にしゃがんだ。

「乗れ」
『え？』
「乗れと言ってるのが聞こえねえのか。置いていくぞ」

いえ、聞こえてはいますけれでも。
それはつまり背中に乗れと？要はおんぶしてやるからってことでいいのでしょうか？
凄く嫌そうな顔しているが、嫌なのは俺も同じである。

『重いと思います』
「だからどうした。早くしろ」

全くもって聞いてもくれない。
意を決してルッチさんの首に両腕を回した。背中に体重を乗せると、すっと立ち上がったルッチさん。俺なんて背負ってないように難なく立ったのでやっぱコイツはやべえと再確認。

「不穏な行動をとれば海に落とす」
『しないので絶対落とさないでください』
「……しがみついておけ」

甲板を蹴ったルッチさんは空中で二歩目を蹴る。
月歩ってやっぱどうなってるんだろう人体の神秘だすげえ。俺も飛びたい。

「訓練さえすればできる」
『あ、口に出てました？』
「はしゃぐな、うっかり落とすぞ」

そう言ってる時点でもはやうっかりじゃないと思う。
口に出した瞬間落とされる未来が見えたので言葉にはならなかったが。
ものの三十秒ほどで絶壁の上。乗せてもらったことのお礼を言い、下ろしてもらった。

「写真の奴らを見つけても相手には悟られるな。俺にだけ伝えろ」
『はい』
「行くぞ」

その短い言葉に、俺は一つ頷いた。

※突然ですが………※

十一章のラストで予告していたアンケートが出来ました☆
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みなさん、よろしくお願いします！！！