SⅥN、海賊の世界に飛んだ一般ピーポーは最強と言う肩書を持ってしまいました。 (ページ14)

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五百二十四話目　「最近の動向」ページ14

日付は進み、カクの背中の火傷もだいぶよくなった。
メンバーとも着実に仲良くなってきている。カリファやカクとは買い物も行く。
長官も調子はどうだとか、話し相手になれとか、まあ友好的。だが大問題は………。

『えっと……』
「なんだ」
『長官が一時間後に来いと』
「……」
『失礼しました』

そう、まごう事なきルッチさんである。
他のCP9メンバーと仲良くなるのと比例してルッチさんとの関係が険悪になって行く。
朝なんて起こしに行きたくない。毎回遺言を残している。主にカリファに。
でもまあ、最近は俺が行くと既に起きてるんだけどね。起こさなくていいのはこれ幸い。
ハァ……とため息をつきながら長官室へ戻った。

「辛気臭えため息だな」
『ルッチさん超怖いです死にそうです』
「あー……まあ、頑張れ」
『適当ですか』
「仕方ねえだろ」

長官の手伝いとして書類整理を三十分ばかり行ってから、洗濯ものを干すために部屋から出た。俺の性格が好きじゃないのか、はたまた存在自体が気に食わないかは知らないが、どうにかしてほしい。仕事しにくくて大変だ。

Aが出て行った数分後、ルッチが入ってきた。
報告書を提出し、さっさと退出しようとする背中に待ったをかける。

「おいルッチ、一つ言いてえんだが」
「……なんでしょう」
「あー、そのだな。もう少しAと仲良くしやがれ」

Aの名前を出した途端にルッチの眉間に皺が寄った。
あー、俺の道力9だけど大丈夫か。言ったことを若干後悔したが、流石に殺されはしないだろうということにしておいた。

「仲良くする必要性が見当たらないのですが」
「んなこと言うな。一応海軍から預かってんだ」
「そもそも、身元も何もかも怪しいやつを信用する方がどうかと思いますが」
「オイ、間違っても海軍関係者の前でンなこと言うなよ」

確かに、Aについて謎な事など多すぎて数えきれないが、危険人物ではないという裏付けは十分すぎるほどある。それでも頑なに拒むこの男。根っからの諜報部員と言ってしまえばそうなのかもしれないが。

「もとより海軍など当てにしていないので。あの女は何か隠しています」
「そりゃあ……誰だって隠し事の一つや二つはあるんじゃねえか？」
「……」
「ま、嫌うのは勝手だがな。お互いの任務や仕事に支障は出すなよ」
「分かっています」

そういうとルッチは部屋から出て行った。
意外にも自分はAに肩入れしているという事に気づいた俺は、軽く笑った。