組織のNo.2は最推しに瓜２つだった件について

２８話、ぁ…この人、極道だったわ ページ29

「よし、なら今度の土曜日はどうだろうか？空いてるか？」
「…一応、」
「そうか！なら土曜の夜に迎えに行くから──逃げるなよ？」
「…ぜ、善処しましゅ…っ」


低い声で今一度、念を押されれば従うしか在るまい
に、逃げませんよ？
てか、あんたからは逃げれないだろうよ…っ物理的にも
逃げでも地の果てまで追いかけそうだもん
怖い…っ
若様の脅迫にモジモジしていたら、本当に急いでるのか
約束を取り付け次第、早々に玄関の方へ向かうものだから傍に寄った


「……お仕事ですか？」
「…あぁ、漸く溝ネズミが捕まったんだ！」
「ほーぅ？…ん、頑張ってきてくださいね」
「……ヤクザに向かって頑張れとは…中々面白いな」


溝ネズミ？業界語なのかな？
ネズミの駆除がそんなに嬉しい…か！
深く考えるだけ無駄なので、とりあえずお仕事する人みんな偉い論で応援すれば
靴を履き終えた煉獄さんがこちらを振り向き、不適な笑みを浮かべて笑った


ぁ…この人、極道だったわ


つい、煉獄さんの笑顔に惑わされて忘れてしまうが、彼は立派の立派な極道様である
しかも組のNo.2
思いっきり眉間にシワが寄っていたのが自分でも自覚してしまった時には煉獄さんにワシャワシャっと髪の毛ごと頭を撫でられた


「うへぇ〜っ！…あ！今日は本当にありがとうございました！大事に食べます」
「あぁ、そうしてくれ……行ってくる」
「………行ってらっしゃい〜っ」


ドアが閉まると同時に見送りの言葉を返したけど、届いたかどうかは微妙だ
極道の…ましてや若様が私なんぞに興味を持ったのが今でも不思議だが
まぁその内、飽きるだろう
面白味もなければ可愛くも美人でもない
ただの金持ちの気紛れだ


「…残りは冷蔵庫で育てるか」


高級苺を大事に片付けて冷蔵庫に閉まった

２９話、そこも尊敬している→←２７話、キツい…っ！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す