273話、そんな顔しないで ページ29
「入れ墨のことだが──」
ビクッ「─っ!」
「…?どうした?」
「いや…聞かれたくない話題なのかと…っ」
まさか、その手の話題が掘り返されるとは思わず
変な反応をしてしまったことが、申し訳なくなった
思わず自分の手を強く握ってしまった
「──あぁ、そう言えば話を逸らした形になってしまっていたな」
「……」
「そんな顔をさせてすまない…、俺の悪い癖だな」
顔を包み込んでくれる優しい杏寿郎さんの手の温もりに俯いていた顔が自然と上がった
眉を下げて困った笑みを浮かべる杏寿郎さんに寧ろ此方の表情が曇った
無理してでも笑わなきゃ…っ
「もう大丈夫です!杏寿郎さんこそ…そんな顔しないでくださいっ」
「いや、これはきちんと聞いてくれ」
「!」
「俺は君に不安な想いはさせたくないんだ…だから少しでも気になった事は聞いてきてほしい。それに俺はきちんと答えたい」
真剣な眼差しで言われてしまえば、黙って頷く事しか出来なかった
──もしかして、
「杏寿郎さんも…不安なの?」
「! よもや…っバレたか?」
困ったように笑う杏寿郎さん
あの杏寿郎さんが不安になる……?
不安になる要素なんて──
「ぇ…?杏寿郎さんが何に不安になる…の?」
「ん?…Aの気持ちが俺から離れる事が一等、怖いし不安にだってなるさ」
頬を撫でる手つきが妙に優しくって、擦り付けるように顔を寄せた
そんな不安…寧ろ、私の方が──
「ふふっ」
「?」
「ごめんなさい…っ!私も同じこと思ってたから、つい」
「……そんな不安など不要だ」
そう言ってキツく抱きしめてくれる杏寿郎さん
杏寿郎さんこそ、その不安はするたげ無駄な話だ
私もお返しとばかりに首に腕を回した
幸せだなぁ…っ
ポカポカする
「──杏寿郎さん」
「ん?……フッ、入れ墨の話を聞くんじゃなかったのか?」
「……あとで良い」
あとが、良い──。
今は杏寿郎さんにもっと触れたい──。
杏寿郎さんの横髪をそっと耳に掛けて、耳たぶに口付けを落とした
「…っ、これ以上、魅力的な女になったら身が持たないな」
「…気のせいですよ」
身が持たない──
いつも余裕なぐらい涼しい顔をしてる人の口振りとは思えない発言に頬が少し緩んだ
再び杏寿郎さんの耳たぶに口付けをしては、唇で挟んだりして
何とも言えない柔らかさで少し楽しくなった
「! 杏寿郎さん……っ」
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棗(プロフ) - 梅好きさん» 梅好きさんんッ!!なんとお優しいお言葉…ッ!!ありがとうございますっ!頑張りますね! (2022年2月5日 12時) (レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
梅好き - 楽しみにしています!更新ゆっくりでも楽しみが続くので♡お待ちしております! (2022年2月1日 23時) (レス) id: 52503dd19e (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 梅好き(いつも返信すみません お大事になさってください)さん» 趣味の軽〜いフワフワな気持ちで書けるのが占ツイの良い所だと思っているのでッ!!梅好きさんの変態さんを私は読みたいですッ!(大声) いや〜自分の変態ぷりにたまに我に返る時がただあるので、更新が遅くなるのが申し訳ないがッ!書きたいんで書きます!← (2022年1月31日 0時) (レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
梅好き(いつも返信すみません お大事になさってください) - 棗さん» 私は書ききる才能がなくて本当に棗さんや作家さんを尊敬してます!5の時でしたか!読んでいてキュンとしたので棗さんの変態さんっぷりが伝わってきたのかもしれないですねぇ。ニヤニヤ 今回もたまらんですっ!癖にささる!心理描写と展開がストライクですっ! (2022年1月27日 0時) (レス) @page39 id: 52503dd19e (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 黒猫さん» んなぁあっ!!黒猫さん!分かります!分かり身蒸かし芋ですよ!←(は?) 「さん」付けの破壊力を伝えたかったんです!!いや、ただの「変態」でも私は死にますけどッ!!変態なんてッ!!(大声)ゲスンゲスンッ 共感してもらえて嬉しいです♡ (2022年1月24日 17時) (レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:棗 | 作成日時:2022年1月2日 10時