組織のNo.2は最推しに瓜２つだった件について６

２５６話、落とし処 ページ12

「俺だって石田の人柄は買っているんだ…だから正直、今回の件は俺としては下したくない決断だった」
「それでも若様としての…責務を果たすために…？」
「ﾌｯ、そうだ……だからAが俺に頭を下げてくれた時には驚いたが、それ以上に嬉しかったんだ」


柔らかい微笑みで嬉しそうに話す杏寿郎さんに不思議な気分になった
やりたくないコトでも上に立つ者としてやらなきゃならない
私の判断は正しかったのかな？


「あの場で俺に意見を言えるのはAだけだったからな」
「！ で、でも！杏寿郎さんは…やると決めたらやる人だって…っ」
「よもや…！俺の言葉を覚えてくれたのか！嬉しいなっ！！」
「うぃ…っ、空気が変わる…っ！」


ピカーッと夜なのに眩しいぐらいの笑顔で思わず目を深く閉じた
テンションが上がったのは分かったから少し輝度を落として欲しい
ご満足な若様はニコニコ笑顔で、先ほどの雰囲気などぶち壊しも良いところの明るさで話を戻した


「そうだ……俺はやると決めたら必ずやる男だ…それは組員、みなが周知している事実だからこそのAの存在だ！」
「……ぉん？」
「Aが今回の件を無かったことにしてほしいっと言わない限り俺としても引くに引き下がれない状況だった！だからAの勇気ある行動が今回の落とし処に繋がったんだ！！」


なるほど！
漸く話が繋がった
若様としては、本当は石田さんを切り捨てたくはなかった
でも、男としてケジメを付けさせなければメンツが潰れる
だから、形式として謝罪の場を儲けさせた
そして私の勇気ある行動で、若様の心を動かして今回の件を丸く納めれた

っというシナリオだったというワケか、

若様としても、男してのメンツも…両方を守らなきゃイケない杏寿郎さんの心境は凄かっただろうに──


「……めんどくせぇな〜っ」
「ははっ！…それも若頭としての責務だ！……Aの気持ちを利用してしまった事をどうか許してはくれないだろうか？」
「もー！物凄く怖かったんですからね！？死ぬかと思ったんだからッ！！」
「生半可な演技なら誰も納得しないだろう？……ｸｸｯ！あー俺を脅迫した時のAには心底、肝が冷えたぞ？」
「うそつけぇえーっ！」


一体、何処までが彼の計画通りだったのか？
内心、ゲスみたいな笑みで黒いノートを片手に笑っていないことを祈りたい

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