組織のNo.2は最推しに瓜２つだった件について６

２４５話、本拠地にご入場──！ ページ1

「ところで山さんやい」
「はい？」
「若様って何処にいるの？てか、今この車は何処に向かってるの？」


ずっと気になっていた
謝罪って言うから何処かのホテルの喫茶店とか、料亭の個室とか？
そんなイメージで居ただけに今この車は何処に向かってるのか
外の景色を見る限り喫茶店って線は薄い
住宅街に向かってるのは分かる
雰囲気的、隠れ料亭って可能性も否定できない！
相手は極道だし…イメージ的にもあってる

うんうん。っと勝手なイメージを膨らませていたら山さんから耳を疑う発言が聞こえた


「兄貴は準備が忙しくって同行は出来ないみたいで…」
「ほぅ？」
「目的地は──ぁ、そろそろ見えてきますよ」
「？」


そんな大掛かりな？いや案外、別件で動いてるかもしれないし…
たかが謝罪だし？
モヤァっとした気持ちが増すばかりで、そろそろ着くっという山さんの発言に後部座席から顔を突き出すように前を見た


さっきからやたらと塀ばかりの景色が続いてるけど……まさかな？


ま、まさかな？


先ほどから左側がやたらと長い塀が続いてる気がしていたが…
嫌な予感しかしないよね…っ普通に


「──こちら煉獄組の屋敷になりますッ！」
「……………あぃ。」



ドンッ！！！


っとデカデカと大きな如何にも、っと言った門を車が通過して出迎えた大きな玄関
玄関なのか？
意気揚々と話す山さんとの温度差がえげつない私であった


まさかのヤクザの本拠地に連行されるとは思いもしなかった
そうだよね、普通に考えて若様が動くってことはまぁ、自分の活動範囲内
しかも、勝手が利く場所──



帰りたい。



別の人に運転席を代わり、山さんは私の方へ促すように後部座席のドアを開けた


「行かなきゃ…だめ？」
「き、気持ちは分かりますけど……っ本当に無理だったら兄貴に話、付けてきますよ？」
「………山さんの意地悪っ！」
「へへっ！さぁ…兄貴が待ってます」


ある意味、単身でヤクザの本拠地に出向く私の気持ち……本当に分かってる！？
泣いたら良いのか、キレたら良いのか、
分からない気持ちのまま私は車から降りた

２４６話、緊急事態宣言→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す