152話、逃げたらダメ ページ6
「だ、だれか…………ぁ、っ」
助けを求めるべく辺りを見渡した
だけど、誰も私に視線を合わせてくれる人は居なかった
それもそうだ──今、私が止めようとしている人は此処に居る誰よりも偉い人なのだから…
「やめ…て、煉獄さん!止めてッ!お願いだからッ」
「……何故だ?コイツは君を傷つけたんだぞ?」
「このままだと死んじゃうからっ!そこまでして欲しくないッ!!煉獄さんにはこんなこと……っしてほしくな、い…っ!」
爪を立て必死に煉獄さんの腕に引っ掻き傷を付け、酸素を求めるように踠き苦しむ彩華さんを見ては身体が震え続ける
どうして、どうして此処まで──っ!
「" こんなこと " …?俺が誰だか分かって言ってるのか?」
「…ッ!ヤクザでも若様でも関係ないッ!私は煉獄さんに言ってるのッ!!」
「…………」
勿論、分かっている
ヤクザは必要とあれば犯罪だってする
私には非現実的ハナシ──
それでも今、目の前で起こっている事は紛れもない現実の話であって
この人は死ぬほど悪いことをしたとは私には思えない
今まで見たこともない煉獄さんの冷たい眼差しを私は逸らすことなく睨み返した
此処で逃げたらダメだ──ッ!
コレでダメだったらきっともう、ダメなんだろう
全くもって緩む気配のない煉獄さんの腕が少しでも緩んでくれることを願った
「………ふぅ──っ」
「!」
「…わかった……分かったからそう怖い顔で睨まないでくれ」
パッと手を広げて、参りました。っと言わんばかりのポーズで力なく笑う煉獄さんにドッと力が抜け落ちた
怖い顔って……貴方には負けますよ…っ
なんて言いたいのは山々だったが、今は折れてくれた事に安心した
漸く煉獄さんから解放された彩華さんはその場に倒れ込み、噎せ返りながらも必死に酸素を取り込んでいた
声をかけるように手を延ばそうとしたら腕を煉獄さんに掴まれ、そのまま引き寄せられた
「─今は見逃してやる…精々残りみ…「煉獄さんッ!」……むっ!なんだ?」
「煉獄さんッ!!」
「……だから、なんだ?」
バッ!と両手を広げて彩華さんを隠す様に煉獄さんの名前を呼んでは、特に話す内容もなく呼び続けた
少しでも気が逸れることを願って──
暫しの沈黙がその場に流れた
不機嫌丸出しの珍しい煉獄さんに眉間にシワを寄せては一歩も譲らなかった
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棗(プロフ) - クロさん» そんな!?勿体ないお言葉…ッ!凄く嬉しいです!これから…だなんて、えへへ〜っ!すみません。ご期待に応えれる作品であれば幸いなのですが、これからもヲタクライフ強火で書ければ…!っと思っておりますので、少しでも楽しんで貰えるよう頑張ります! (2021年12月7日 0時) (レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - ナキサさん» ナキサさんっ!!ありがとうございますっ!ナキサさんにそう言って貰えると嬉しいです!!応援もありがとうございますっ!日々、頑張っていきますっ! (2021年12月7日 0時) (レス) @page46 id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - 私のお気に入りの作品の中で、一番好きな作品です。棗様、いつも楽しいお話をありがとうございます!若様とヲタクな夢主ちゃんのこれからを想像しながら毎日更新されるのを楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2021年12月6日 8時) (レス) @page39 id: 6871d01b79 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - イケメンな若様、最高ですね〜!夢主ちゃんとの関係値が好きです。応援してます! (2021年12月6日 1時) (レス) @page39 id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 梅好きさん» 梅好きさん嬉しい言葉をありがとうございます!優しい世界に泣きそうです!とりあえず、ティッシュをどうぞ…!とても恥ずかしい気持ちで一杯なのですが、そう言って貰えると本当に励みになります!これからも頑張りますで引き続きティッシュ片手に宜しくお願いします! (2021年12月4日 6時) (レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:棗 | 作成日時:2021年11月28日 1時