組織のNo.2は最推しに瓜２つだった件について４

１４７話、生々しい音が響く ページ1

私の誇らしげな顔と親指だけは立派に主張する手を見て、冷たい視線を向ける山本くん


「………はぁあ〜っその時はお願いしますっ！」
「そのタメ息がウザすぎワロタww所でなんで山さんが来たの？」


トボトボと遅い足取りの中、漸くみんなが居る川辺が見えてきた頃
まさか山本くんが迎えに来るとは想像もしてなかったし、ましてやあんな場面にエンカウントさせるとは思いもしなかった
お陰で助かったちゃー助かったが
経緯を気だるそうな声で山本くんが口を開いた


「あー兄貴がAさんが遅いから探してこいって──


山本くんの言葉は途中で遮られ
私の隣を歩いていたハズの彼が一瞬にして私の視界から消えた
それと同時に、人が殴られた鈍い音が耳に届いたんだ















　



その時はゆっくりと時間が進んでいたような気がした
スローモーションで飛んでいく山本くんを追い掛けるように私の視線は後ろへ行き
声を発するよりも先に、衝撃を与えたであろう人物が山本くんにズガズガと踏み込んでいく後ろ姿を捉えた時には再び山本くんがソイツに殴られた
その瞬間、焦りが走った


「山本てめぇ！！誰の女に手ぇ上げたか分かってんのか！？ぁ゛あ゛っ！？」
「す…みま……っ」
「謝って済む問題じゃねぇぞ！！ゴラァッ！？覚悟できてんだろうなぁ！？おい！何とか喋れ、よッ！！」


ドコスカと生々しい音が鼓膜を震わせた

ヤバい──ッ！

ビリビリと伝わることの重大さと痛々しい音
頭だけは必死に守ろうとする山本くんの姿に動かなかった足を無理やり動かした


「ちょっ…やめて！それいじょ──「うるせぇ！！女は黙ってろッ！！おら山本ッ！！何とか言えやッ！！」……ンの野郎ォ…ッ！」


蹴ることを止めないソイツに抱き付き、全力で山本くんから距離を取らせようにも私の行動が鬱陶しかったらしく
これまた力任せに振りきられ、その衝撃でソイツの腕ごと顔面に直撃したモノだから猫かぶりも剥がれた
男と女の力の差など分かりきったほどに明らかで──
それでも私は彼を…山さんを見捨てるわけにはいかないんだ！！


バッ！！


「……ッ！て、てめぇ…ッ！女の分際で何しゃしゃり出てンだよッ！！邪魔だッどけぇッ！！」
「…うぐッ！！ 「Aさん！！ダメだっ─」 ……ッ！！」


左頬から伝わる鈍い衝撃と口の中に広がる鉄の味
それでも私は両手を広げて山さんの盾になった

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