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74話、女性初の快挙 ページ26

「……ふぅ、悪くないホテルだったなっ」
「Aさん何やってるんッスか?」
「ひゃい…っ!?や、山さんッ!?何故ここにッ!?」
「Aさんのお迎え係りに任命されましたっ!」


仁王立ちで顎に手を置き、ドヤ顔で立ち去ったホテルを見上げたら後ろからヒョイッと聞き覚えのある声に驚き心臓が跳び跳ねた
にっこり太陽の笑顔で迎える山さんに少しだけ安心した


顔見知りの人がお迎えだったのか、良かった…っ!


煉獄さんの配慮なのだろうか?ありがとうっ!
うんうん、っと頷いていれば「荷物預かりまーす」っと半強制的にワンピースと靴の入った紙袋を取られ
促されるまま山さんが乗ってきたであろう高級車の後部座席を手慣れた手付きで開けてくれた


「えへへっ、ありがとう!」
「女性をエスコートしてる気分になりますね!」
「ぉ!カッコいいぞ〜!」
「えへっ」


何ともほのぼのとした空気を漂わせながら、車は静かに動き出した
まぁ静まり返るハズもなく
運転開始10秒も経たずに山さんが口を開いた


「まさか兄貴が此処までAさんの事を気に入ってるとは思いませんでしたよ!」
「全くだよ!(即答)」


山さんも驚いてくれてるみたいで共感うれしい…っ!
私が一体なにをしたって言うんだい?
そうだ!答えは、何もしていない
間髪入れずに即答すれば、笑われた


「一応言っておきますけど…」
「ん?」
「兄貴ってホテル同伴した後って相手の迎えの車なんてまず手配しない人なんですからね?」
「…ん?」
「つまり!今、俺がAさんを送り届けているってのが女性初って事なんッスよ!」


どう言うこと??
いつもは遊んだ後は現地解散ってこと??
にっこり微笑みながら、何言ってんの?コイツ…って意味を込めて首を傾げれば、バックミラー越しに苦笑いされた


「とても優遇されてるって解釈でオーケー?」
「オーケー!」
「…ふむっ、煉獄さんっていつもこんな感じなの?」
「こんな感じ…っとは?」
「服を買ったり、靴も…あと、ご飯食べてバーでお酒飲んだり…あと、ホテル……行ったり…っ//」


徐々に声が小さくなっていったのは許せ…っ
少しモジモジしつつ運転中の山さんの方を見れば一瞬、助手席に置かれたワンピースと靴の入った2つの紙袋を見ては再び前を向き直して真剣な声色で口を開いた


「そこまでされた女性は自分の中では知らないですね」
「……そうか、」

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作者名: | 作成日時:2021年11月5日 0時

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