４３０話、譲れない ページ42
「いらっしゃいませー」
気の緩んだ来店挨拶を聞き流し、私は気分上々で杏寿郎さんの手を握り引っ張った
「レンタルショップに行きたいだなんて…何か見たいのがあるのか？」
「むふふっ！家で映画鑑賞ってお家デートみたいで憧れてたんでーす」
「！」
ちょっとした憧れだったりする
一つのソファーで二人一緒に座って見る
そんなありふれた事だけど──
今回ハプニングが合ったが、それも込みで少しでも楽しみたい私の我が儘であり野望でもある
これと言って特に見たいものは無いが、折角だし杏寿郎さんが楽しめるものでも……
「Aのお勧めのアニメは何だ？やはり不滅の刃か？」
「まて、まて、待って！なんでアニメコーナーに行くのかな？」
「ん？Aが楽しめるものの方が良いだろう？」
「いや、ここは杏寿郎が楽しめるのものでしょーうがッ！」
「Aが楽しければ俺も楽しいから安心してくれ！」
目的地を見つけるや、否や、早々に杏寿郎さんが足を進めたアニメコーナーに私の足は固く立ち止まった
満面の笑みで何を言っているのかな？
一体何を安心するって？？
「私は杏寿郎とアニメじゃないのを見たいッ！」
「俺はAとアニメが見たいんだ！」
「なんでぇ！？」
「なんでもだッ！」
理由になってませんって…それぇ
児童アニメコーナーで何を見ようか悩んでるチビッ子少年もチラチラと此方を見るぐらいには私たちの攻防も盛り上がってしまった
私は杏寿郎さんには此方の世界には余り深入りしてほしくないからこそ阻止しているんだ
私の努力を無駄にさせないでほしい
「……では、こうしましょう」
「今回は私が見たいので…次は杏寿郎が見たいのを見る…どうだ！？」
「………分かった！」
素直なところは可愛いけど、いつの日か杏寿郎さんの家にフィギュアが飾られた日には私は──私は──、
そんな来るかも分からない未来に現実逃避をするように私は両手で顔を覆った
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棗(プロフ) - 葵さん» コメありがとうございます！評価に関しては全然気にしていないので、気に病まないで下さい！大丈夫です！寧ろいつも読んで頂きありがとうございます。此処まで辿り着くのに貴重なお時間を……まだまだ続きますが宜しくお願いします！ (2022年5月27日 22時) (
レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 更新されたらすぐに見てます！評価は毎回10点にしているのですが、今更新している9作品名ではスクロールしていたら間違えて変な所の評価を押してしまいました。すみません。応援しています。頑張ってください！ (2022年5月27日 1時) (レス) @page17 id: 45176a09e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棗 | 作成日時：2022年5月13日 21時
