・ ページ45
「其方らも余の側室の座を狙ってみるか？」
「や〜だ国王様ったら！」
「えっと、あの、その」
「(今日の夜ごはん何だろう)」
時はしばらく経っていよいよお茶会の時。
国王が指名した手頃な娘は、上級貴族の令嬢、平民出の娘、そしてAだ。
平民出の娘の方は、おそらく逆らえない貴族の誰かにでも言われて来たのだろう。
令嬢は堂々と、平民出の娘はオドオドとした様子で国王のご機嫌をとる中、Aは優雅に出された紅茶とケーキを食していた。
夜ごはんのことを考えながら。
ある意味Aが1番、令嬢や国王よりも堂々としている。
一通り満足したのか、国王は3人に向かって質問した。
「ところで娘達よ」
「「「はい？」」」
「余はこの国の王である。つまり余がこの国で1番上の存在！
余の価値を金で換算したらいくらになるか、答えよ」
思いもよらない質問にAは少しだけ目を見開き、他の2人は固まった。
「そこの娘、答えてみよ」
1番に呼ばれたのは、この中で圧倒的に緊張している平民出の女性だった。
呼ばれて分かりやすく肩を震わせ、落ち着かない声で答えた。
「ひゃ、百万ユール…千万ユール……ご、ご諒察くださいませ。お金のことは知らないため、どのくらいなのかよく分かりません」
平民の彼女にとって、今言った額は相当なものだ。
それを分かっている国王は気を良くした。
「そこの娘は？」
次に呼ばれたのは、上級貴族の令嬢だ。
彼女は姿勢を正し、にっこりと笑って答えた。
「山のように高く、海のように広い陛下の聖徳を、お金に置き換えて考えることは出来ません。
もし、天の重さと海の深さが測れましたら、もう一度お聞きください」
正に満点と言える答えだった。
ただしそれは、目の前の国王に限るが。
求めていた答えが出て満足したのか、にやりと笑った王はそのままAの方へ顔を向けた。
「その娘はどう思う？」
一応言っておくが、Aはここ最近貴族の集まりなるものに行っていないので、国王や令嬢からは「卑しい身分の娘」と思われている。
それに加えて、彼女は表に出ることを好まない。
つまり、Aが魔法騎士であることをこの場の誰も知らないのだ。
Aは飲んでいた紅茶から目を離さずに、淡々とした声で答えた。
その表情は、いつも見るような柔らかさは一切感じられない。
「敢えて申し上げるなら＿＿＿
.
1ユールでございます」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 467人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
HANON(プロフ) - Amaneさん» 大正解です！母がよく韓ドラを観ていて、そのシーンと台詞が凄く印象に残っていたので使いたいと思っていたんです。Amaneさんコメントありがとうございました。 (2020年2月24日 21時) (
レス) id: cf411dd6ee (このIDを非表示/違反報告)
Amane(プロフ) - ウィリアム様カッコイイ〜！！そして主人公めっちゃ好みです！笑 所で王様の価値の話ってあの韓ドラが元ネタですよね！違ったらごめんなさい…もしそうなら、お話してみたいです笑 いきなりのコメント失礼します！ これからも応援しています！笑 (2020年2月24日 21時) (レス) id: 1a3aa9e49a (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - NONAMEさん» ノゼル団長は大体何やってもカッコいいから素敵ですよね！NONAMEさんコメントありがとうございました！ (2019年9月22日 22時) (レス) id: ed41bbef6e (このIDを非表示/違反報告)
NONAME(プロフ) - ノゼル様かっこいいいい!!こんなかっこいいノゼル様書いて下さってありがとうございます！ (2019年9月22日 22時) (レス) id: c3aeec0d97 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - いらとやさん» 投票ありがとうございます。私も誰にするか迷っていて、皆さんに決めていただきたいと思ってアンケートを作りました。これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2019年8月11日 8時) (レス) id: ed41bbef6e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HANON | 作成日時：2019年6月5日 19時
