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「帰りたい」
「着いて早々に何をおっしゃっているのですか」
「着いたから言ったんです」
勢いでアンナの頼みを承諾してしまったが、お金にも権力にも興味がないAは正直こういうところは苦手である。
アンナによって見事にドレスアップされたAは、容姿や佇まいを含めて“魔法騎士”から“令嬢”へと化けた。
口ではこう言っているが、仕草は上級貴族や王族が前でも恥じないような代物だ。
しかもそれがほぼ無意識。
彼女が貴族の養子になったのは2歳の時。
それから魔法騎士団に入団するまで叩き込まれたのだろう。
「は？A？」
「ランギルスくん？」
「あれ？伝えてませんでしたか？中ではA様が、外での警備はランギルス様が率いるのですよ」
「「いや初耳」」
何かとハモることが多い2人は、今日もアンナの報告不足についてハモった。
いや、アンナはそもそも侍女なので責めることは出来ない。
強いて言うなら報告係のミスだろう。
魔法の相性云々も絡むのだから、報告係がしっかりしないと意味がない。
報告係には後で2人がお話(物理)をするとして、ランギルスはAに通信魔導具を渡した。
「これで普通の会話くらいだったら聞き取れるから、中の方よろしく」
「了解です」
なんだかんだで任務と聞いてからやる気が出たAにランギルスは珍しく苦笑いした。
本当ならネアンの一件から間もないのに休まず働こうとするから、一瞬だけ「軟 禁という名の永遠の休暇をくれてやろうか」とも思った。一瞬だけ。
だがやる気になったAを止めるのは難しいし、中の警備が必要なのも事実。
なにより、珍しく着飾った彼女を元に戻すのは少々惜しい。
「……そろそろ時間だ」
「そうですね」
Aは首に飾っていた、ウィリアムから貰った懐中時計を取り出した。
それを見てランギルスは少しだけ眉をひそめたが、すぐに表情を戻して踵を返した。
「A」
「はい？」
「それ似合ってる」
「………へぁっ」
一言短く言い残してランギルスは去っていった。
いつのまにかアンナは居なくなっていた。
Aはその場にへなへなと座り込んだ。
「……言い逃げずるい………」
ランギルスが今頃したり顔なのが目に浮かぶ。
「……一回忘れよう。仕事、任務、警備」
起き上がって自己暗示を繰り返し、気持ちを落ち着かせて改めて目の前の部屋の扉を開けて入っていった。
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HANON(プロフ) - Amaneさん» 大正解です！母がよく韓ドラを観ていて、そのシーンと台詞が凄く印象に残っていたので使いたいと思っていたんです。Amaneさんコメントありがとうございました。 (2020年2月24日 21時) (
レス) id: cf411dd6ee (このIDを非表示/違反報告)
Amane(プロフ) - ウィリアム様カッコイイ〜！！そして主人公めっちゃ好みです！笑 所で王様の価値の話ってあの韓ドラが元ネタですよね！違ったらごめんなさい…もしそうなら、お話してみたいです笑 いきなりのコメント失礼します！ これからも応援しています！笑 (2020年2月24日 21時) (レス) id: 1a3aa9e49a (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - NONAMEさん» ノゼル団長は大体何やってもカッコいいから素敵ですよね！NONAMEさんコメントありがとうございました！ (2019年9月22日 22時) (レス) id: ed41bbef6e (このIDを非表示/違反報告)
NONAME(プロフ) - ノゼル様かっこいいいい!!こんなかっこいいノゼル様書いて下さってありがとうございます！ (2019年9月22日 22時) (レス) id: c3aeec0d97 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - いらとやさん» 投票ありがとうございます。私も誰にするか迷っていて、皆さんに決めていただきたいと思ってアンケートを作りました。これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2019年8月11日 8時) (レス) id: ed41bbef6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HANON | 作成日時：2019年6月5日 19時
