バニラかチョコ

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どうしようもなく、ドキドキしてきた。


「しげ・・・えっとさ」


「返事、いつでもええよ。
とりあえず、みんな心配するやろうから、
戻ろか。
神ちゃん、降りておいで？」


堤防の上の俺に、差し出された手のひら。

意識してしもて、気軽に触れることが出来へん。


迷ってたら、しげの方から、捕まえられた。


ふわっと降りたった先は、
しげのすぐそば。


チョコアイスの香り、
ほのかに感じた。


手はすぐに離されてしもたし、
しげは先に歩き出した。


もうちょっとだけ、
ここで二人だけでおりたいのに・・・


流星に告白された時は、
こんな事、考えもしいひんかった。


俺、しげのこと、好きなんかもしれへん。


俺の常識では、
男同士で恋愛なんかあり得へんねん。

やけど、

微かに触れられただけで、
胸が締め付けられる理由も、

好きって言ったくせに、
急に突き放す、
しげを責めたいような、

泣きたいような、そんな気持ちの理由も。

それしかない気がする。


「しげ」


「ん？」


「返事、今する」


「え、っ、ちょっ、待って、
心の準備が・・・」


「しげと付き合う。
けどさ、俺が彼女っていうんは、保留やからな！」


そこだけは、はっきりしとかんとな。


しげを好きかもって意識したん、たった今やし。


まだ、男同士で付き合うっていうんも、
何をどうするのか、
実感湧いてへんし。


「ほんまっ？
ほんまにっ？
よしっ！
よしよしよしっ！！！」


しげは、一人でガッツポーズしまくってる。


「はしゃぎ過ぎやって」


「そら！はしゃぎたくもなるって！
俺ら、両想いやってんな！神ちゃん！」


にかっておっきな口開けて笑って。

がばっと抱きついてきて・・・


違うな、いつものふざけたハグやない。


俺、しげに抱きしめられてる・・・


「俺の出来る限り、大事に大事にするな。
ほんまにほんまに嬉しい」


甘い声で囁かれて、
ドキンってまた心拍数が上がった。


しげの腕の中、ドキドキするのに、安心する。


複雑や。


分かってんのは、
とてつもない幸福感の中におるって事だけ。


「ああっ。
せっかく両想いになれたのに。
もう離さな・・・」

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