バニラかチョコ

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「神ちゃんが苦しんでるん、
もう見たないねん。
俺なら・・・
泣かせたりせえへんよ？」


不意に、肩に回った長い腕。

軽く引き寄せられて、
そのまま包み込まれた。


流星なら、

俺の買いもんの度に、
つまらんそうにしたりせんやろし、

連絡かってまめやろし。


頭と口先、よう回る大毅と違て、

口下手なとこもあるから、
嘘はつかへんと思う。


何より、

追いかけるより、
追われた方が、

いつも安心してられて、
気持ちも安定する。


比べれば比べるほど、

大毅なんかより、

流星と付き合う方が、

幸せになれるって、

結論付く。


それやのに。


どうしようもない程、

大毅が好きで・・・


あほみたいやって思うけど、
自分ではどうにも出来ひん。


「うん。分かってるねん。
分かってるけど。
流星、ごめん・・・」


「俺こそごめん。
神ちゃん、病気やのに。
着替えて、はよ寝なあかんな。
シャワー浴びれそう？
わんこたちのご飯、どこ？
俺、やっとくで。
良ければ散歩も」


「そこまでしてもろたら、悪いし。
大丈夫やで」


言うてるそばから、

立ち上がろうとしたら、
立ちくらみして、ふらついてしもた。


「もう寝とき。
俺がやっとくから。
言うこと聞いて。
これはメンバーとしてやからな」


そう言われてしもたら、
従って甘えるしかなくなる。


寝室に入って、パジャマに着替える。


どんどん熱が上がってる気がする。


薬、飲むん、忘れてたな。


思た時、コンコンってドアがノックされて。


「神ちゃん、薬、忘れてんで」


薬とお水持った流星が入って来た。


「何から何までありがとう」


「神ちゃんが寝るまでおるよ」


「ええよ。
恥ずかしいし」


「寝顔なんか、いつも楽屋や移動車で見てるやん」


「そやけどさ」


「パジャマ、ほんま可愛ええな。
似合うてる」


「そういうこと言うもん」


「ごめんって。
けど、神ちゃん、
ほんまに可愛えから、しゃあないやん」


「・・・もお。
あんま見んといてな」


薬飲んだ後、素直にベッドに入る。


今日の流星はやけに強引やし、
熱でしんどいし、

断るのは諦めた。

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