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その日の帰り
下駄箱に向かうと窓の外には灰色の雲が広がり、雨が降りはじめた
傘なんて持ってないけどこれくらいならと急いで靴を履いて走り出すが
夏の終わりの雨はコロリと表情を変えすぐに大雨になる
あー、母さんの言う通り傘を持ってくればよかった
そう心の中で呟きながら屋根のあるバス停に滑り込んだ
ずぶ濡れになった髪をわさわさして水を飛ばしていると
垂れた前髪の隙間から見慣れた横顔が見えた
なんでこんな時だけと、
運命の悪戯を信じてしまいそうになる
僕を見て少し目を大きくしたAは
何も言わずまた前に向き直す
なにか、話を
そう思ったことは初めてで、でもいつも勝手に言葉を紡ぐ口は、動かない
『雨、すごいね』
重い空気の中、ぽつりとAが呟いた
ウソク「、、、あぁ。」
静寂を破った声に少し驚いた
『ウソクのことだから、お母さんに傘持ってけって言われたのに持ってこなかったんでしょ？』
そう悪戯に笑って僕を見るA。
ウソク「、、、。そんなんじゃないし」
『あ、図星だ。
まぁわたしも忘れちゃったから人のこと言えないんだけどね』
あはは、と軽やかに笑うと
何年か振りに話したかのような懐かしい感覚と、安心感が胸に広がった
それから、なにもなかったかのようにたわいもない話をして
雨がポツポツと弱くなりはじめた時
『ほんと、なーんにも変わらないよね、ウソク。
でも
もうお互い大人になったんだね。
、、、ならなきゃ、だね』
そう、静かに微笑んだAの顔は
今までで1番きれいで
1番悲しそうだった
その言葉の意味がわからず、黙っているとバスがやってきた
『あ、わたしバスで帰るから。
じゃあね、ウソク。 ばいばい』
とんとん、と足取り軽くバスに乗り込み
窓から手を振るA。
その時はただ、元の関係に戻れたんだって。
また馬鹿言い合って笑える日々が戻ってくるんだって。
でもそれは、
僕に向けられる最後の笑顔だったんだ。
もしも
あの時、何か言葉を返していれば
もしも
バスに乗るAを引き止めていたならば、、、
あと何度、もしもを繰り返したら
"ばいばい"が、"またね"に変わったのだろうか
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vanilla(プロフ) - 山口ななさん» こちらこそコメントありがとうございます！ゆるゆる更新ですが、頑張ります！ぜひ今後も見守ってください！！ (2020年8月18日 0時) (
レス) id: f0f63eed7e (このIDを非表示/違反報告)
山口なな(プロフ) - vanillaさん» お返事ありがとうございます！お返事来て嬉しいです！お忙しいと思うので体調に気をつけて無理なさらず更新なさってください！これからも投稿頑張ってください！応援してます！！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: 0fc905a492 (このIDを非表示/違反報告)
vanilla(プロフ) - 山口ななさん» ありがとうございます！私もSEASONSめちゃめちゃ良いですよね！あの歌詞の美しさを表現できるような作品になったらいいなとおもって書いてます！コメント、本当に嬉しいしモチベーションになります！ありがとうございます！ (2020年8月14日 20時) (レス) id: f0f63eed7e (このIDを非表示/違反報告)
山口なな(プロフ) - SEASONS大好きなのでとても嬉しいです。素敵な作品でほぼ毎日見返しています。更新楽しみにしています！ (2020年8月14日 10時) (レス) id: 0fc905a492 (このIDを非表示/違反報告)
vanilla(プロフ) - かぶぶんさん» ありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです！！最近忙しくてあまり投稿できていませんがこれからも頑張りますので、引き続き読んでいただけると嬉しいです！ (2020年6月6日 22時) (レス) id: bf5eb3999d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：vanilla | 作成日時：2020年4月14日 0時
