HIHI 短編集 (ページ4)

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「すき、」

俺の言った言葉をなぞりながら静かに見つめるはしもっちゃん。一瞬困惑したような顔をしたけど、何かを思い出したように話し始めた。

「元気なかったのって、それのこと？

ふふっ、なんかちょっと納得したかも。」

はしもっちゃんが笑った。

「えっ？」

「いや、瑞稀が俺が見てない時の方が俺のこと見てるなぁって、前から思ってて。今の話聞いて妙に腑に落ちたんだよね」

「そ、それって？」

「うーん、まあ瑞稀は俺のこと好きなのかなーって何となく思ってたってこと。

うーん、こうなったら我慢は要らないね」

と言いながら俺の手を引く。

「ちょっとまって！
えっ？俺、はしもっちゃんのこと好きって言ったんだよ？」

「うん、そうだね」

「俺もはしもっちゃんも男なんだよ？気持ち悪いとか、さ、ないの。っていうか、手･････」

「うん、男だね

ねぇ、瑞稀」

「なに」

「⋯涼、って呼んでよ」

「えっ」

「さっき1人で俺のこと呼んだでしょ？ほらその時みたいに、涼って」

より一層強く握られたはしもっちゃんの手は少しだけ汗ばんでいた。

「り、ょう」

「うん、瑞稀、俺も好きだよ」

そう言ってはしもっちゃんは俺のおでこに軽いキスを落とした。

状況がよく掴めずはしもっちゃんの顔をよく見れない俺と、ニヤニヤしながら俺の手を優しく包むはしもっちゃん。

知らなかった。
好きな人からの好き、がこんなにもあったかくて嬉しくなることを。
知らなかった。

知れてよかった。

ずっと自分から彼への一方通行だと思っていた想いは、実はお互いを向いていて。
気づくのは少し遅くなってしまったけど、俺たちにはまだまだ時間がある。

今までの分をゆっくり埋めていければいいな、隣で笑う涼の横顔を見て、そう思った。