【デスノート】ビターチョコ【L】

さん ページ3

Aside



「行かせません」


はっきりとそう言われた


黒髪は少しハネてて、白い長袖Ｔシャツにズボン、目の下にはクマがある



ソファーの上で体育座りのような座り方



親指を口元に持っていく赤ちゃんのような仕草


怪しい…ちょっとこのひと怪しい


でもこの人が助けてくれたことはわかった


「…あのえーと…名前…」


呼ぶにもこの人の名前もなにも私は知らない


「…竜崎です。あなたは……」


聞いといて私は名乗らないなんて失礼…だよね


んー…



「空です…」


「！………空」


一応偽名を名乗った


これは施設にいたときから教わってきたことだ



「偽名を教えろ…と施設にいたとき教わってきた…そうですね？

七瀬Aさん」



「っ…!!」



バレてる


どうして…なんでこの人ここまで…



「あ、これお返しします」



そう言って渡されたのは私の身分証明となるもの



どうして持って…



「…やっぱり私行きます

いろいろとありがとうございました」



これ以上竜崎さんとなんていられない


優しくしといて私はこの人に殺されるかもしれない




世の中…みんな敵なんだから…。





「施設に戻るんですか？



帰る家…あるんですか？」



「っな！なんでそんなことまで知ってるの？！同情して私を拾ったならはっきり言って迷惑です!!!」



自然と涙がこぼれた


知らない人に泣き顔まで見られるなんて最悪な日だ



「…つまり同情でなければ迷惑ではないと」



「え…？」



「Aさん、私は同情して連れてくるなんてことしません」



トンッと立ち上がると私との距離を縮めるように近づいてくる竜崎さん


「やだ来ないでください」


何も言わず近づくと私のすぐ目の前で立ち止まる


逃げたいのに足が重くて動かない


怖くてギュッと目を閉じると…



「え……？」



頭をポンポンと撫でられ薄い目をあけた



「…ほっとけないんです
今ここから出ていって…また倒れた時どうするんですか」


「…も、もう倒れないから…平気…」


"倒れない"そんな保証はどこにもない


現に倒れて私は…助けてもらったのだから…



「それにまだ怪我が治ってません
病人はおとなしく寝ててください」



「……いやです

私は！！キラをぜったｯ……い…」



あれ


目が……視点が合わない……なんも聞こえな…



──ｸﾞｲｯ



「っ…はぁ…ほら倒れた」







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