Polarisを見つけて【先導者夢小説】 (ページ3)

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２＊キミと走り出したページ3

Aがおおよそ毎日反復している面白味の無い帰り道、ふといつもと違う何かが目を掠めた。
そして彼女は、初めて帰り道で足を止めた。

生まれつきの癖毛がそうさせるのか、本人の気性とは似合わぬ毛先が跳ねた髪。
艶やかな青は、晴れ渡る青空よりも彼のさめざめとした泣き顔が先に思いつくのはA自身の思う所によるものだろう。
そして――変わらないままの細くて薄い、この世の全てに怯えるように丸まった弱々しい背中。

間違いない、と思った。
間違える筈がない、とも。
人間違いだったら、なんていう気後れは一切思い浮かばなかった。

かつかつと革靴のソールが駅の床を弾いて鳴る。
その勢いのまま、Aは彼の背中に平手を振り下ろす。

「いッ――!!?」

『何をボサッと突っ立っているんです、先導アイチ！』

「キミ…は……？」

アイチの不思議そうな戸惑い顔に、Aも一瞬唇を噛みかけたがすんでのところで留まって、頭を振った。

『そんな事より…貴方こそ埃だらけの制服のまま、此処で何をしているのですか？』

「え、あっ…そうだ…！」

アイチが道行く人に話し掛けようとして断念する、の繰り返しだったのは遠目から見てもおおよそ計り知れた。
問題なのは、(Aの知る彼が変わっていなければ)人見知りで引っ込み思案な性格のアイチが一人で他人に接触するという行動は到底繋がらない、ということ。

「あ、あの…！カードキャピタルって知ってますか…!?」

『カードキャピタル？…大通りのショップがそんな名前だったような…』

「えっあっありがとうございます！」

突然走り出すアイチをAは慌てて引っ張り戻す。

『ちょっ…ちょっと！正確な場所も聞かずに走り出す奴がありますか！』

「うわ、とと…。す、すみません！あの、どの辺りに…目印とか…」

Aはアイチのただならぬ様子だけはハッキリと汲み取った。
だから一歩先んじて躍り出た。

『急いでいるのでしょう？案内します！事情はきっちり聞かせて頂きますからね！』

「え…は、はいっ！」

ボーイ・ミーツ・ガール、と評するには些かロマンチックに欠けているが――間違いなく、物語は動き出していた。

．．．

青春と語るにはちょっと慌ただしいですね。