Polarisを見つけて【先導者夢小説】 (ページ13)

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１２＊妹だって心配ですページ13

入店一番、目に飛び込んで来た情報にAは今すぐ逃げ出したい気持ちでいっぱいになった。
勿論彼が居るかもしれない、と考えなかった訳ではない。
しかしそれは彼女と手を繋ぐ提案をした後だったので引っ込みがつかなくなってしまったのだった。
まさに天を運に任せる気持ちで飛び込んだ訳だが、しかし天運は彼にあったらしい――アイチはこちらに気付いて声を上げた。

「あっ…！あの時の！」

がたがたと大きな音を立てて椅子から立ち上がったので、自然と櫂と三和の視線もアイチを追ってこちらを捉える。
引き攣る表情筋を叱咤して、Aは懸命に愛想笑いを返した。

「あ、あの、君…あれっ？エミ?!」

きゅっと繋がれた手が跳ねた。

「あ…あはは…元気ぃ？アイチ…」

半身をAのスカートに隠れるようにして、こちらもぎこちない笑顔で為す術もなく手を振った。

「どうしてエミと君が…」

『え？』

今度はAの頭に疑問符が浮かぶ番である。

＊・＊・＊・＊・＊

「「「妹?!」」」

先導アイチの妹、先導エミと名乗った少女は、丁寧な挨拶で自己紹介を締め括った。
店内を覗き見していた理由も、急に様子が変わったアイチを心配しての事だったという事からも、アイチとエミの家族仲は充分窺える。

「なぁーるほど。イカンなぁ、妹さんを心配させちゃあ」

三和が明るく窘めると、アイチは弱々しく謝罪の言葉を口にした。
でも卑屈さから来るものではないのが分かるので、やはりカードキャピタルはアイチにとって良い刺激になっているようだとAはこっそり安心した。
エミもそれを感じ取れたのか、微笑みを浮かべて頷く。

「でも…分かりました。アイチが変わったのは、このお店に出入りしてるからなんですよね！」

微笑み合う兄妹の穏やかな絵に店内の空気も緩やかになる。

．．．

エミちゃんは可愛くて良い子だけど、アイチからしてみれば頭を捻りたくなるような、そういう兄弟姉妹独特の空気が欲しいなと思ってます。(願望)