Polarisを見つけて【先導者夢小説】 (ページ12)

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１１＊ちょっぴり一歩のおてつだいページ12

しかし、Aという人間は良くも悪くも天秤に掛ける物事を間違えないし、出た値を誤魔化さない。
この苛烈さが人を遠ざける原因だと委細承知しているが、どうもこの生きにくい性格は生来のもののようだ。

『では、店長さんは彼女と何を？次第によっては辞させて頂きますが』

シンはようやく自分が大なり小なり怪しまれているのだと理解し、少女が店内を覗いていたので声を掛けただけだと簡潔に弁解した。

不意にくるりと振り返ったAに、少女は身構えるように身体を硬直させる。

『…貴方の事情は聞きません。でも、それは貴方の行動を迷わせてもいるのでしょう。
でも、その迷いは解決しなければずっと付いて回りますよ。
後回しにすればするだけ、ずっと貴方はその選択肢に纏われ続ける。
それでも構わないというのなら、明日の貴方や、一週間後、一ヶ月後の貴方に解決を預けるのもいいと思いますけど』

自分でも少し厳しい声が出たと思ったので、Aは慌てて一つ咳払いをしてしょんぼりする少女に言葉を付け足す。

『た…ただし、あの…今日その気があるのであれば、まぁ、私の持ちうる限りの力をお貸しするのはやぶさかでないといいますか…』

「？…」

『で、ですから…手を引いてあげます！入るのも、逃げるのもご一緒しますと言っているのです！』

白くつややかな手のひらが少女の目の前に無防備に差し出された。
大きな瞳のが見開かれる。

『…まぁ、このお店にはあまり怖い人はいない感じがありますから大丈夫だと思いますけど』

「あぁ…ミサキちゃんがいるからかもしれませんね」

『みさきちゃん？』

「お手伝いして貰ってる女の子です。僕の姪なんですよ」

『あぁ、あの人…』

Aは話が脱線している間も自分の手から目を離さない少女を見下ろして再度問う。

『どうします？』

「あっ…じゃあ、お願いします！」

少女のまだ丸みを帯びた柔らかな手の重みを確かに感じながら、しかし力加減が分からずそっと握り込んだ。

『では、参りますよ。貴方も！』

「あ、はい」

ぎこちない二人の睦まじい様子を見守っていた男性店員は、ニコニコとやや間抜けな返事をするのだった。

．．．

そろそろ気付いたと思いますけど、軽い話を重くする天才なんです。わたし。