吸血鬼 56 ページ7
ｰAside
壱馬さんの頬にキスして、背を向けたとき、声がした気がした。
A「…え。」
ゆっくりと振り向く。
壱馬「A…。」
壱馬さんはうっすらと目を開けていて、私に手を伸ばしていた。
A「！」
1つ、2つ。
涙が頬を伝った。
A「か、ずまさん…っ。」
壱馬「…おう。」
壱馬さんが笑う。
壱馬「…俺、まだ生きてるんか。
死んだかと思った。」
壱馬さんは呟くように言った。
低い、耳に心地のいい声。
ずっとずっと聞きたかった。
A「壱馬さん、私…。」
壱馬さんのことが好きです。
そう言おうとしたとき、腕を引っ張られた。
壱馬さんの胸に倒れ込む。
A「きゃっ！」
壱馬さんは私の後頭部に手を回して言った。
壱馬「…愛してる。」
A「…え。」
壱馬「…あのとき、死ぬかもって思ったとき、お前にちゃんと言わんかったん後悔した。
お前のことが好きや。
お前からしたら、俺の存在なんか恐れる対象でしかないって分かっとる。
やけど、俺はお前と永遠を生きたい。」
涙で視界が滲んだ。
壱馬さんの掌を頬に押し当てる。
A「…私も、愛してます、壱馬さん。」
壱馬さんが軽く目を見張る。
壱馬「…ほんまか。」
A「はい。」
壱馬さんが笑って私の頬を拭った。
壱馬「お前はほんま泣き虫やなぁ、A。」
A「…誰のせいですか。」
壱馬「…俺か。」
A「そうです。」
頷くと、壱馬さんは声を上げて笑った。
壱馬「俺、どれくらい寝てたん？」
A「1ヶ月くらいです。」
壱馬「マジか。」
壱馬さんが身体を起こし、ベッドから出る。
壱馬「ルプスは？」
A「元気ですよ。」
壱馬「ならよかった。…おっと。」
ふらついた壱馬さんを慌てて支える。
部屋を出ると、壱馬さんは首を傾げた。
リビングの騒ぎ声が聞こえたらしい。
壱馬「誰か来てるんか？」
A「えっと…、敬浩さんと将吉さんと陸さんと山彰さんと健太さんと瑠唯さんと慎くんが来てます。」
壱馬「皆やん。」
A「ここ最近はほぼ毎日来てくれてるんですよ。
それに、今日は誕生日ですし。」
壱馬「ん？誰の？」
A「私のです。」
壱馬「もうそんな日か？」
A「はい。」
壱馬「そっか。おめでとう。」
A「ありがとうございます。」
私は壱馬さんを支えながらリビングへ向かった。
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ありさ(プロフ) - とっても面白かったです！2人のこの先もとっても見たいです！二部作目も楽しみにしています！！！ (2020年9月3日 16時) (
レス) id: 1d0c204c04 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - とっても面白かったです。すごくキュンキュンしました(^^)第2部も楽しみにしています。 (2020年6月28日 9時) (レス) id: 3116574168 (このIDを非表示/違反報告)
める(プロフ) - 引き込まれるお話で、とっても面白かったです。第2部も楽しみにしております！ (2020年6月28日 0時) (レス) id: d77e8b9916 (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - すごく引き込まれるお話で、毎回の更新を楽しみに見ておりました。第二部も楽しみにしております！頑張って下さい。 (2020年6月27日 21時) (レス) id: 351cfe8a45 (このIDを非表示/違反報告)
sana(プロフ) - すごくいいお話で、第二部も読んでみたいです！ (2020年6月27日 11時) (レス) id: 7d566cc079 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：直実
| 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu
作成日時：2020年6月13日 15時
