吸血鬼 53 ページ4
ｰ壱馬side
あー、やってもうた。
どくどくと血が流れ出すのを感じながらぼんやりとそんなことを思う。
A「嫌！
壱馬さん、壱馬さんっ！
嘘でしょ、ねぇ、壱馬さんってばっ！」
Aが俺に縋り付いた。
…あほ、危ないやろ。
こいつらお前のこと吸血鬼やと思ってんねんぞ。
なんで俺なんかの所来とんねん。
早く逃げろや。
A「壱馬さんが化け物？
あんたたち何言ってるの？
壱馬さんは優しい人なの！
行く所が無かった私を拾ってくれたの！
あんたたちが壱馬さんの何を知ってるの？
今、誰か壱馬さんに怪我させられた？
壱馬さんはあんたたちが傷つかないようにしてたのに！
化け物はどっちよ、あんたたちの方が化け物じゃない！」
Aの声が遠い。
俺は声を絞り出した。
壱馬「…ん、な…。」
A「…壱馬さん？」
謝りたいのに、言葉にならない。
Aが俺の上にかがみ込む。
A「壱馬さん、今なんて言ったの？」
壱馬「…んな、ごめん…。」
Aの目から涙が零れて、俺の顔に降って来た。
…温かい。
泣くなや、あほ。
なんで泣くねん。
そう言いたくても、もう唇を動かすことさえ辛かった。
Aの頬を拭ってやりたいのに、手が動かない。
A「どうして謝るの…？
謝るのは私の方なのに。
壱馬さんごめんなさい、私のせいで…っ。」
壱馬「…ま、の、せ…ちゃ、わ、…あほ。」
なんでお前のせいやねん。
俺がお前を助けたかったんや。
あー、Aの腕の中で死ねるんやったら本望やなぁ。
視界が霞んで来た。
…俺、死ぬんか。
不思議と死ぬのは怖くなかった。
…Aがそばにいるからかな。
1つ後悔があるとすれば、Aに気持ちを伝えなかったことだ。
ありがとうな、A。
お前がいてくれてよかったわ。
愛してんで。
そう心の中で語り掛けて、そっと微笑む。
そして、俺はゆっくりと目を閉じた。
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ありさ(プロフ) - とっても面白かったです！2人のこの先もとっても見たいです！二部作目も楽しみにしています！！！ (2020年9月3日 16時) (
レス) id: 1d0c204c04 (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - とっても面白かったです。すごくキュンキュンしました(^^)第2部も楽しみにしています。 (2020年6月28日 9時) (レス) id: 3116574168 (このIDを非表示/違反報告)
める(プロフ) - 引き込まれるお話で、とっても面白かったです。第2部も楽しみにしております！ (2020年6月28日 0時) (レス) id: d77e8b9916 (このIDを非表示/違反報告)
さえ(プロフ) - すごく引き込まれるお話で、毎回の更新を楽しみに見ておりました。第二部も楽しみにしております！頑張って下さい。 (2020年6月27日 21時) (レス) id: 351cfe8a45 (このIDを非表示/違反報告)
sana(プロフ) - すごくいいお話で、第二部も読んでみたいです！ (2020年6月27日 11時) (レス) id: 7d566cc079 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：直実
| 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu
作成日時：2020年6月13日 15時
