2月14日の過ごし方 (ページ7)

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涼「あ、ありましたか？」

ビルを出ると、さっき別れたはずの宮舘さんがそこにいた。

「は、はい、ありました…落としてたみたいで…。」

涼「良かったですね。帰りは駅ですか？」

「はい。」

涼「では一緒に行きましょう。」

少し戸惑ったものの、宮舘さんの紳士的な振る舞いに圧倒されて、促されるままに歩き始めた。

涼「いつも遅くまでお疲れ様です。」

「ありがとうございます。宮舘さんも、いつもビルの安全を守ってくれてありがとうございます。」

涼「Aさん、いつも挨拶してくれますよね。」

先ほど名乗ったものの、いきなり名前で呼ばれてドキッとする。

涼「おはようございます、お疲れ様でした。それだけの挨拶ですが、僕はいつも嬉しく思っていたんです。」

にこっと笑ってそう言う宮舘さんは、クールなイメージから一転、とても可愛かった。

宮舘さんはとても話しやすい人で、駅までの時間があっという間だった。

涼「ではまた。」

「はい、今日は本当にありがとうございました。」

そう最後に挨拶を交わして、別々のホームへと進んだ。

その次の日、お礼に、と温かいコーヒーを差し入れしたら、喜んでくれた。

お互いに名前を知り合ったので、挨拶も今までより親しみを込めて交わすようになった。

時には今日は天気いいですね、なんて天気の話や、昨晩のご飯の話などもして、私は宮舘さんと徐々に仲良くなった。

そして連絡先を交換し、帰るタイミングが合う時は一緒に駅まで帰った。

初めてカフェでの寄り道に誘われた時は嬉しすぎてにやけるのを抑えるのが大変だった。

こうして、私の恋心はすくすくと育ってきたのだ。